横浜に新たなスマートシティ、住宅から企業の開発拠点までエネルギーを有効活用スマートシティ

パナソニックが野村不動産などと共同で、次世代都市型スマートシティの開発に着手する。横浜市港北区綱島東に位置するパナソニックの事業所跡地を活用するもので、環境配慮型のタウンマネジメント施設の他、集合住宅や技術開発施設も併設する。再生可能エネルギーの導入や、災害時にも利用可能なエネルギーシステムの整備を目指す。

» 2015年04月02日 07時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 パナソニックは、野村不動産と横浜市港北区綱島東のパナソニック事業所跡地を活用し次世代都市型スマートシティ「Tsunashima サスティナブル・スマートタウン」の開発に着手した。環境配慮型のタウンマネジメント施設、集合住宅、技術開発施設、商業施設の各ゾーンを設け、地域全体でのエネルギーマネジメントの実施、再生可能エネルギーの導入、災害時にも利用できるエネルギーシステムの整備などを目指す。街開きは2018年を予定している(図1)。

図1「Tsunashima サスティナブル・スマートタウン」の開発スケジュール(クリックで拡大)出典:パナソニック

 敷地面積3万7900平方メートルのうち3万4400平方メートルをこのほど共同事業者であるMID都市開発(本社=大阪市)へ売却。引き続きパナソニックが保有する3500平方メートルの地区では街全体にかかわるエネルギー、セキュリティ、モビリティ、ウェルネス、コミュニティなどのタウンサービスを具現化するタウンマネジメント施設を計画している。この内、ウェルネス分野では保育、医療施設を設けて関連のサービスを提供する。

 またコミュニティ内での交流を深める目的でクラウド、サイネージなどIT技術を用いた情報発信も積極的に行う。さらに街全体でのエネルギーの効率的な利用や水素社会の実現に向けた新たな取り組みも展開する方針で、燃料電池自動車に水素を供給する水素ステーションの設置や地域全体でエネルギーの有効利用が行えるシステムの導入なども予想される。

 今後、3社は開発にかかわる技術開発施設や商業施設の事業者とともに、3年後の街びらきに向けて「まちづくり協議会」を発足。街づくりの実現に向け横浜市が策定予定の地区計画と併せて、街全体のコンセプト、環境やエネルギーに関する全体目標、それを実現するためのガイドラインを策定する。

 この他、売却した敷地のうち集合住宅ゾーン(約3600平方メートル)では保育施設を備えた約100戸の集合住宅を建設する。技術開発ゾーン(約1万2500平方メートル)には、既に米Appleが日本でのさらなる業務拡大を目指してテクニカル・デベロップ・センターの新設を発表している。最も広い商業施設ゾーン(約1万8300平方メートル)には大型の商業施設が開設される見込みだ(図2)。

図2 今回の開発で利用する土地のゾーニング図(クリックで拡大)出典:パナソニック

 同地区には1960年に当時の松下通信工業が進出。通信・無線・計測機器などの生産拠点として事業を展開したが、2011年に事業を終息していた。なお、パナソニックが主体となりスマートシティ開発に取り組むのは2014年11月にオープンした神奈川県藤沢市の「Fujisawaサスティナブル・スマートタウン」に次いで2カ所目となる(関連記事)。

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