再生エネ導入量全国1位の福岡県、躍進を支える「地方主導」の力自然エネルギー(3/4 ページ)

» 2015年04月16日 13時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

震災以降、国任せだったエネルギー政策に注力

スマートジャパン 水素エネルギー以外への取り組みについて教えてください。

丸林氏 水素エネルギーに関しては福岡の地域特性もあり、いち早く産学連携の取り組みを進めてきました。しかし再生エネルギーなどの導入に関しては、従来国任せだった部分も大きかった。しかし2011年3月11日の東日本大震災以降、エネルギーに関するさまざまな問題が顕在化したことで、これからは国任せではなく福岡県が自ら新たな省エネ技術や再生可能エネルギーの導入を進めていこうという方針を決めました。現在私が所属しているエネルギー政策室も、こうした背景により震災後の2011年9月に設立されています。

 その最初の具体的な取り組みとして、2012年7月からの固定買取価格制度の開始に合わせて「福岡 再生可能エネルギー導入支援システム」(図6)の提供をスタートしました。これはウェブ上から県内の日照時間や風況、送電線からの距離などを250mメッシュ単位で確認できる全国初のシステムでした。再生可能エネルギーを導入しようにも、どこからどのように情報を得て検討すればいいのかが分からない場合も多い。そこで福岡県がそういった情報を全て集約し、ワンストップで提供できるようにしようという狙いです。

図6 「福岡 再生可能エネルギー導入支援システム」(クリックでWebサイトへ)

スマートジャパン 具体的に福岡県ではどれくらい再生可能エネルギーの導入が進んでいるのでしょうか?

丸林氏 2014年12月末時点において固定買取価格制度に基づき新規導入された再生可能エネルギー発電設備の容量は83万kWになります。これは全国1位です。固定買取価格制度の開始前に導入した発電設備も加えた場合の容量は約117万kWで、現在の年間発電量は約18.3億kWhと推定しています。これは2011年度時点における県内の電力消費量の約4.9%に該当します。当初、県内への再生可能エネルギーの導入量については2016年度に58万kW、2020年度に90万kWという目標を掲げていたのですがこれを大きく上回る速度で導入が進んでいる状況です(図7)。

 福岡はもともとエネルギーに関して親しみのある地域ということもありますが、エネルギー政策に関するセミナーを積極的に行うなど、さまざまな取り組みの成果が反映されたのかなと思います。

図7 福岡県における再生可能エネルギー発電設備の導入目標と導入実績 出典:福岡県

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