電力自由化で電気料金が「上がる」、そのとき役立つ太陽光蓄電・発電機器(2/4 ページ)

» 2015年04月21日 15時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]

まずは高効率をうたう

 五角氏によれば、自家消費用途の太陽光発電システムに求められるのは、実際に住宅の屋根に設置したときに出力が高くなることだという*2)。そこで、新製品では5つの工夫を強調した。

 第1が太陽電池モジュールの出力(変換効率)だ。NQ-220AEの最大出力は220W、モジュール変換効率は19.1%である。従来のNQ-210ADの210W(18.2%)から出力を5%伸ばした。

 変換効率を高めるために用いた手法は、太陽電池セルの上面と下面に設けた「パッシベーション膜」の材料変更である。

 太陽電池に光が当たると、図3の中央に示した絵のように、電子(−)と正孔(+)が対になって生じる。その後、電子がN電極へ、正孔がP電極に到達して電流が流れ、発電が始まる*3)。ところが、電子や正孔が電極に到達する前に、再結合(合体)してしまうと、取り出し電流が減ってしまう。この再結合を防ぐのがパッシベーション膜だ。

*2) 加えて品質保証が重要だとした。NQ-220AEなど4モデル(従来のNQ-210ADなども含む)では、太陽電池モジュールに対して20年間の無償保証を付けた。機器と出力の両方を20年間保証する業界初のサービスをうたう。出力保証では、公称最大出力の下限値の90%を基準値として、10年後までは基準値の90%、15年後までは同85%、20年後までは同80%を保証する。なお、パワーコンディショナーなどのシステム機器は、無償で15年保証する。
*3) BLACKSOLARには表面電極は備わっておらず、裏面に全ての電極を配置するバックコンタクト方式を採用している。

図3 再結合が起こると変換効率が下がる 出典:シャープ

 新製品では表面(受光面)のパッシベーション膜を従来のPTG(リンチタンガラス)から、窒化ケイ素(SiN)に変更した。さらに裏面の膜を二酸化ケイ素(SiO2)から酸化アルミニウム(Al2O3)に変えた(図4)。材料を変更することで、受光面の発電ロスがNQ-210ADと比較して90%低減、裏面の発電ロスは75%減ったという。

 太陽電池モジュールの内部で失われていた電流を取り出すことが可能になったため、変換効率が向上した形だ。

図4 パッシベーション膜の改良で損失が低下した(クリックで拡大) 出典:シャープ

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