シャープが強調した第2の工夫は、毎日変化するさまざまな日射条件に適した太陽電池を作り上げたということ。
太陽電池の最大出力(220W)は、1m2当たり、1000Wの太陽光が入射した場合の数字だ。ところが、実環境では1000W/m2が得られる場合はほとんどない。時刻によって変化する太陽の角度はもちろん、天候にも依存するからだ。
同社によれば、大阪の日射量は図5に示した分布を取るという。年間4560時間の日照時間のうち、600W/m2以下の時間が全体の8割以上を占めている。従って、日射量が少ないときに発電量が大きくなる太陽電池が有利だ。
シャープの多結晶太陽電池モジュール「ND-175AC」では、日射が100W/m2のとき、出力は92.5W。BLACKSOLARではこれが95Wまで高まる(図6)。
第3の工夫は、実際に住宅の屋根に設置したときに、出力を高くするためのもの。日本の屋根形状と合った太陽電池モジュールを作り上げることだ。
日本の既築住宅の屋根は2種類に大別できる。屋根が2枚の「板」からなる「切妻(きりつま)屋根」と、4枚の「板」からなる「寄棟(よせむね)屋根」だ。
切妻屋根は屋根面が長方形であるために、太陽電池モジュールをすき間なく敷き詰めやすい。ところが、シャープによれば、切妻屋根の比率は全体の46.1%にとどまる。残る53.9%は台形や三角形の屋根を組み合わせた寄棟屋根だ。従って、台形や三角形の屋根に設置しやすい製品を投入する必要がある。
シャープは長方形のNQ-220AE(6×7セル構成)の他に、正方形に近い小ぶりなNQ-155AE(6セル×5セル)や三角形状に20セルを接続したNQ-101LEとNQ-101REを組み合わせることで寄棟屋根に対応した。「従来製品でも4種類の太陽電池モジュールを組み合わせており、『ルーフィットシステム』と呼んでいる。新製品では屋根に搭載可能な太陽電池の出力が、3.52kWから4.50kWまで増える場合もある」(五角氏)。屋根の3面に設置する組み合わせを図7に示した。
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