2016年度に次世代燃料電池を市場投入、京セラが事業方針を発表自然エネルギー

京セラは2015年3月期(2014年度)の連結決算概要の説明会を開催。その中で太陽光発電事業の方針についても説明し、住宅向け市場の拡大や水上設置型メガソーラー、次世代燃料電池の開発に注力し、事業を拡大していく方針を示した。

» 2015年04月30日 11時00分 公開
[陰山遼将ITmedia]

 京セラの代表取締役社長を務める山口悟朗氏は、環境・エネルギー事業の方針ついて説明を行った。2014年度の太陽光電池の総販売量は、ほぼ横ばいの約1.2GW(ギガワット)になるという。今後、住宅向けの市場では、太陽光電池、蓄電池、HEMSサービスをセットで販売していく方針だ(図1)。

図1 住宅向け市場に対しては太陽光電池、蓄電池、HMESサービスのセット販売を強化していく 出典:京セラ

 太陽光電池については、単結晶タイプのシリコン太陽電池の高効率化を進める。蓄電池については2015年6〜8月にかけて、太陽光発電システムに直結できるマルチDCリンクタイプなどの新型蓄電池を投入する。これは充電効率を従来の89%から96%に高めた製品だ(関連記事)。

京セラ 代表取締役社長の山口悟朗氏

 山口氏は「住宅向けの太陽光発電市場は拡大傾向にあるが、太陽光電池の価格が下落していることもあり、パネル販売だけで採算を取っていくのは難しい。販売数だけでなく、利益の幅を考えていく必要がある。今後は太陽光電池、蓄電池、HEMSサービスの3つを組み合わせたセット販売を推進していく」と語った。


2016年度に固体酸化物形燃料電池(SOFC)を市場投入

 産業用市場では水上設置型のメガソーラーの開発に注力していくといいう。京セラが手掛ける水上設置型のものでは、2015年3月末から兵庫県高岡市で農業用ため池を活用した最大出力1.7MW(メガワット)の「兵庫・高岡西水上メガソーラー」が稼働している。これは水上設置型では世界最大級のメガソーラーだ(関連記事)。この他にも2015年度中に兵庫県と千葉県で2つの水上設置型メガソーラーの稼働が予定されている。

図2 今後は水上設置型のメガソーラーに注力してく 出典:京セラ

 技術開発分野においては、2015年度中に同社のセルスタックを利用した集合住宅や商業施設向けの固体酸化物形燃料電池(SOFC)システムの実証実験をスタートさせる。こちらは2016年度中に市場投入する方針だ。この他には2016年に開始する電力の小売全面自由化に向け、2014年10月に横浜市で行った自動デマンドレスポンスの実証実験(関連記事)をはじめとする電力アグリケーション関連の研究開発を推進していくとしている。

 京セラの太陽光発電事業の売り上げ比率は、住宅市場向けが3割、産業用市場向けが7割という状況だという。山口氏は「今後もメガソーラーなど産業用市場向けの事業も推進していくが、日本国内では利用できる土地にも限界があり、さらに固定買取価格制度による太陽光の価格も下がっている。そのため、産業用市場は今までのようなペースでは拡大しないと予想している。一方、住宅向け市場においては、太陽光で自家発電した電力を売電するのではなく自己消費する流れが生まれてくると考えている。今後はさらに住宅向けの事業を拡大していく方針」としている。

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