電気製品の消費電力量を30%削減、ソニーが2020年の中期環境目標に省エネ機器

日本の製造業の中では率先して再生可能エネルギーの導入を推進しているソニーが2020年に向けて中期環境目標「Green Management 2020」を策定した。自社製の電気製品の消費電力量を平均30%低減するほか、事業所のCO2排出量を電力量に換算して7億9000万kWhも削減する。

» 2015年06月08日 13時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 ソニーの最終目標は全世界を対象に2050年に環境負荷をゼロにすることだ。2010年から環境計画の「Road to Zero」を開始して5年ごとに中期目標を更新する。このほど第2段階の2016〜2020年度を対象にした「Green Management 2020」を策定して、事業活動のプロセスごとに新たな目標を掲げた。

 ソニーが目指す「環境負荷ゼロ」の対象になるのは、「気候変動」「資源」「化学物質」「生物多様性」の4つである。それぞれの観点で環境に影響を及ぼす要因を排除することが目的だ。製品の開発段階から使用後のリサイクル、さらに環境負荷を軽減するための技術やビジネスモデルのイノベーションまで含めて、事業活動の6つのプロセスごとに目標を設定する(図1)。

図1 「商品/サービスの企画および設計」における目標(画像をクリックすると拡大)。出典:ソニー

 特に重点を置くのが気候変動の対策だ。最も大きな効果が見込めるのは、自社製品の消費電力量を削減することである。ソニーは2011〜2015年度を対象にした「Green Management 2015」の中で、製品1台あたりの年間の消費電力量を2008年度比で30%削減する目標を掲げてきた。すでに2013年度に31%を削減して目標を達成している。続けて2020年度までに2013年度比で30%削減する目標を再び設定した。2008年度からの12年間で半減させることになる。

 再生可能エネルギーの導入も加速させる。ソニーは日本国内で再生可能エネルギーによる電力を購入する「グリーン電力証書システム」を活用して、2001年から導入量を増やしてきた。ヨーロッパでは2008年から、事業所で利用する電力を再生可能エネルギー100%に転換している。2020年度に向けて再生可能エネルギーの導入量を全世界で拡大して、2015年度比でCO2排出量に換算して30万トンを削減する計画だ。電力量で7億9000万kWh(キロワット時)に相当する。

 自社だけにとどまらず、取引額の大きい製造委託先にもCO2を中心とする温室効果ガスの削減に協力を依頼する。自社と委託先を合わせて、2020年度の温室効果ガスの排出量を2015年度比で5%削減することを目指す(図2)。製造委託先に加えて原材料や部品の調達先にも再生可能エネルギーの導入を求めるほか、データセンターは省エネ型を優先的に利用する方針だ。

図2 「オペレーション」における目標(画像をクリックすると拡大)。出典:ソニー

 欧米の先進国では再生可能エネルギーの導入状況が企業の価値を左右する傾向が強まってきた。米国の有力企業のあいだでは、流通業のウォルマートを筆頭に再生可能エネルギーによる電力の自給率を100%に高める取り組みが進んでいる。

 ソニーのライバルになるアップルも2014年に全世界で利用する電力の87%を再生可能エネルギーで調達して、近い将来に100%まで高める計画だ。環境負荷の軽減が企業の競争力を高める効果が現実的になりつつある中で、日本企業の取り組みは遅れをとっている。ソニーに続く企業が数多く出てくることを期待したい。

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