日本がリードするナノ炭素材料を次世代省エネ部材へ、NEDOが新事業省エネ機器

軽量かつ高強度、そして電気や熱の伝導性が高いなど優れた特性を持つナノ炭素材料は、高機能な省エネ部材を実現する原料として期待されている。NEDOはナノ炭素材料を利用した次世代省エネ部材の実用化に向けた事業として、新たに6つのテーマに助成を行う。

» 2015年06月18日 09時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)はナノ炭素材料を利用した環境調和型エネルギーデバイスや超軽量導線など、次世代省エネ部材の実用化に向け新たな助成事業を開始する。ナノ炭素材料は軽量かつ高強度で、さらに電気や熱の伝導性が高いなど多くの優れた特性を持ち、これまでにない新たな省エネ部材を生み出すことが期待される。こうした新たな省エネ部材および応用デバイスの開発を行うことで、事業終了後数年内での実用化を目指す。

 カーボンナノチューブ、グラフェン、フラーレンなどのナノ炭素材料は日本で発見されたもので、世界をリードしている材料。これまでNEDOはこうしたナノ炭素材料の生成技術や安全性評価技術など、15年以上にわたって産業応用に向けた研究開発を推進してきた。

 今回発表した新たな助成事業は「低炭素社会を実現するナノ炭素材料実用化プロジェクト」(2010〜2016年度)によるもの。ナノ炭素材料を用いて高耐熱・耐久性複合部材、太陽電池や熱電変換素子といった環境調和型エネルギーデバイス、省エネに寄与する超軽量導線の開発など新たに4つのテーマに助成を行う(図1)。

図1 「低炭素社会を実現するナノ炭素材料実用化プロジェクト」の概要 出典:NEDO

 さらにこれらの応用デバイスの開発に加え、ナノ炭素材料の大量生産技術の開発を目指す2つの助成テーマも同時に実施することで、事業全体を総合的に強化するとともに、開発成果に基づく試料提供などを通じて事業終了後数年内の実用化を目指す。

 選択テーマと助成先は次の通りだ。

ナノ炭素材料高耐熱・高熱伝導分子複合部材の開発

  • スーパーグロース法単層カーボンナノチューブを用いた超高耐久シール部材の開発を行い、耐熱性と長期シール性のトレードオフを克服する技術開発。助成予定先は日本ゼオン

ナノ炭素材料高密度エネルギーデバイスの開発

  • ナノ炭素材料を用いた高効率で実用的な有機薄膜太陽電池デバイスの開発。同三菱化学
  • スーパーグロース法単層カーボンナノチューブを用いた高性能な熱発電モジュール及びデバイスの開発。同日本ゼオン

ナノ炭素材料軽量導線の開発

  • カーボンナノチューブ導体を用いた超軽量導線の開発を行い、導線として実用に耐え得るサンプルを完成させる。同古河電気工業

ナノ炭素材料大量生産技術の開発」

  • 混合フラーレンの分離技術開発と実証試験を行うことで、高付加価値フラーレンの安価な市場供給を目指す。同昭和電工
  • 循環型システムを組み込んだeDIPS法カーボンナノチューブ連続合成技術の開発を行い、高純度で高品質なeDIPS法カーボンナノチューブの普及を目指す。同名城ナノカーボン

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