スマートメーター「Bルート」で新ビジネス、サービス開発基盤を無償提供電力供給サービス

IIJは電力小売事業者およびM2M/IoT関連企業向けに、スマートメーター「Bルート」利用したサービス開発を行えるシステム基盤の無償提供を開始した。

» 2015年06月30日 15時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)はスマートメーター「Bルート」を活用したサービスを提供するためのシステム基盤を開発し、このほど電力小売事業者およびM2M(機械間通信)/IoT(モノのインターネット)関連企業向けにトライアル環境の無償提供を開始した。提供期間は2016年3月31日まで。

 電力会社(一般電気事業者)が家庭やオフィス向けに設置を進めているスマートメーターの通信経路には、一般電気事業者が利用する「Aルート」の他に、データの取得期間が短く、高精細な電力データを取得できるBルートがある。例えば、家庭内で使用している機器のオンとオフによって電力がどう変わるかなどの状況が見えるようになるため、デマンドレスポンスなどに効果を発揮する。

 さらに、Bルートの特徴が、同ルートで得たデータを他のビジネスに展開することが可能である点だ。そのため、他のセンサーデータと組み合わせることでM2MやIoTを活用した新たなサービスやビジネスの創出が期待されている。

 IIJが開発したスマートメーターBルート活用サービスのシステムは、スマートメーターの検針データをリアルタイムで取得し、連携するクラウドシステムと通信を行うサービスアダプター「SA-W1」と、スマートメーターを活用したサービスを提供するためのシステム基盤「PMS(Power Metering System)」で構成される。PMSはSA-W1を遠隔から集中管理するマネジメントシステム「SACM(Service Adaptor Control Manager)」と、検針データを蓄積・管理するためのクラウド型自動検針システム「MDMS(Meter Data Management System)」からなる(図1)。

図1 IIJが提供するトライアルサービスの概要 出典:IIJ

 IIJではこのプラットフォームの商用化に向け、SA-W1において 家電向け通信プロトコルである「ECHONET Lite」認証およびSMA認証を2015年1月に取得。これによりSA-W1はスマートメーターの標準無線通信規格であるWi-SUN対応の通信モジュールを用いて、スマートメーターと家庭内の機器をつなぐBルートによる電力検針データの取得が可能となった。

 電力小売業者は同プラットフォームを利用することによりBルートの検針データを高速かつ安全に活用することができるため、新しいサービスやビジネスを短時間で立ち上げることが可能となる。既に国際航業、テンフィートライトなどの10社がトライアル環境の利用を予定している。

 IIJでは「電力小売事業者だけでなく、電力データを利活用した新サービスの開発を目指す企業にこのトライアル環境を利用してもらうことは、電力小売り自由化を契機とした新たな市場の創造と拡大につながる」として、引き続きトライアル環境を利用する事業者を募集している。

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