「水素社会」実現へ、パナソニックが普及を目指す3つの技術蓄電・発電機器(2/4 ページ)

» 2015年07月06日 07時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]

燃料電池普及の第1ステップは「エネファーム」

 経済産業省の水素・燃料電池戦略ロードマップの「フェーズ1」では、「水素利用の飛躍的拡大が目標に掲げられているが、その中で最初に実用化されたのが家庭用燃料電池である「エネファーム」だ。

photo パナソニック 先端研究本部 環境・エネルギー研究室 室長の小原英夫氏

 パナソニック 先端研究本部 環境・エネルギー研究室 室長の小原英夫氏は「既に水素社会は始まっている。周辺の技術の利用状況などを見ても、水素利用の飛躍的拡大を実現するカギはエネファームにあると考えている。さらなるコストダウンや用途拡大などを通じて普及拡大に取り組んでいく」と述べている。

 パナソニックが世界で初めてエネファームを一般発売してから5年が経過しており、現在は第4世代機の投入が進んでいるところだ。その中で同社は高効率化や耐久時間の長時間化、コストダウンなどを進めてきた。最新機種では、設置場所の問題に対応した別置き型などを用意した他、スリムでコンパクトである点などを訴求。さらに機能的には停電時でも発電可能な停電時発電継続機能を内蔵したことなどが特徴となる。さらに、2014年にはマンション向けのエネファームなどを用意しており、用途拡大を進めている(図4)。

photo 図4:パナソニックのエネファームの進化(クリックで拡大)※出典:パナソニック

 小原氏は「普及拡大のポイントは、コストダウンと用途拡大だと考えている。これらの技術開発を進め、早期に自立市場へと移行できるようにしていきたい」と述べている(図5)。

photo 図5:エネファームの普及シナリオ(クリックで拡大)※出典:パナソニック

 同社ではエネファームの国内展開だけでなく海外展開も進めている。エネファームの特徴は、電気と熱を同時に生み出せることにあるので「熱への需要のある寒冷な地域」「ガスに対して電気の領域が高い地域」であれば「普及の可能性がある地域だといえる」(小原氏)としている。そのため2014年からまず欧州での展開を開始。今後は北米での展開に付いても検討していくという(図6)。

photo 図6:エネファームの海外でのポテンシャル(クリックで拡大)※出典:パナソニック

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