“HEMS時代”で先を行くパナソニック、カギを握るゼロ・エネルギー・ハウスの基盤スマートハウス(2/2 ページ)

» 2015年07月13日 07時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]
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どうしてスマートコスモを拡販するのか

 富士経済が2014年に発表した調査結果によれば、HEMSの累計導入戸数は2014年度で25万戸で、普及率としては0.5%にとどまる。しかし2020年にはこの数字が6倍以上にまで拡大すると見込まれている。さらに政府は2030年に向けてZEHの普及を拡大させる方針も示しており、これもHEMS需要の拡大を促す要因だ。

 パナソニックはこうした動きに備え、2030年に総世帯数の2割への導入を目指してHEMS対応の住宅分電盤であるスマートコスモの普及を拡大していく(図3)。HEMS需要が拡大すれば、太陽光発電設備、蓄電池、HEMS対応の家電製品といった関連需要も高まると予測される。これらの設備を簡単に後付け可能なスマートコスモを先行して普及させることで、将来的にこうした関連需要をスムーズに取り込む狙いだ。

図3 スマートコスモを2030年に総世帯数の2割に導入することを目指す(クリックで拡大)出典:パナソニック

 スマートコスモの販売促進に向けたパナソニックの戦略は主に2つある。1つ目が低価格化だ。スマートコスモは分岐電流センサーを搭載する分、パナソニックが販売する通常の非HEMS対応型のより8〜18%程価格が高い。そこで2015年9月からは“リフレッシュ”スマートコスモとして、10%程度値下げを行う。価格は2万4100〜18万8000円とし、非HEMS対応型の住宅分電盤の価格とほぼ同等クラスとした。

生産体制を強化、シェア80%を目指す

 2つ目が生産体制の強化だ。約10億円を投じて愛知県尾張旭市の工場の生産能力を大幅増強する。現在の生産能力は年2万4000台だが、これを2016年度には36万台にまで引き上げる計画となっている。2018年度の販売目標は、2014年度の約47倍となる33万台を目指す。パナソニックの太陽光発電設備や蓄電池などに対応する創エネルギー対応住宅分電盤のシェアは2014年度時点で70%。これをスマートコスモの拡販により、2018年には年80%以上に拡大させる方針だ。

図4 2018年には創エネ対応住宅版シェア80%を目指す(クリックで拡大)出典:パナソニック

 とはいえパナソニックの調査によれば、一般消費者のHEMSの認知度は約10%にも満たない状況だという。こうした状況を受け同社ではスマートコスモの拡販とともに、HMESそのものの認知度向上に向けたプロモーション活動にも注力していくとしている。

 「パナソニックのスマートHEMSは、エネルギーのかしこい上手な使い方を実現するだけでなく、照明設備や家電機器をつなぐことによる生活環境の改善、さらには安心安全の提供やデータ活用によるさまざまなサポートサービスなども実現したいと考えている。自宅にスマートHEMSを導入することが“当たり前の時代”にしていきたい」(磯崎氏)

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