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» 2015年07月14日 11時00分 UPDATE

自然エネルギー:バイオジェットフライトを2020年東京五輪で実現、解決すべき3つの課題 (1/3)

2020年のオリンピック・パラリンピック東京大会でのバイオジェット燃料での航空機のフライト実現を目指し、経済産業省は「導入までの道筋検討委員会」を設置。このほど、実現に向けた活動を開始した。

[三島一孝,スマートジャパン]

 バイオ燃料は、再生可能な生物由来の有機性資源(バイオマス)を原料に作られた燃料のことだ。燃焼する時には当然、二酸化炭素(CO2)を排出する。しかし、原料となる作物が成長する過程でCO2を吸収する。そこでトータルでは、CO2排出量しない、再生可能なエネルギーの1つとして見なされている。

 このバイオ燃料を、2020年のオリンピック・パラリンピック東京大会での航空機のフライトで実際に使うというのが今回のプロジェクトの目標だ。航空機業界では、世界的にCO2削減への取り組みが強くなる中、バイオ燃料への取り組み強化が進んでおり、実際に2020〜2030年頃から多くの航空会社で、バイオジェット燃料の採用が進むと見られている。

国際的に航空機業界のCO2削減は大きな課題

 実際に、国連の専門機関であるICAO(国際民間航空機関)や、民間航空団体であるIATA(国際航空運送協会)が、2020年以降の航空温室効果ガス削減対策の一環として、「代替航空機燃料の活用」を促進することを表明している。ICAOが2020年にCO2排出量を頭打ちとする目標を策定しており、IATAはこれを踏まえ、2020年までに世界平均年1.5%燃料効率改善、2050年までに2005年比、CO2排出量50%削減という目標を掲げており、この目標の達成にはバイオジェット燃料が導入されなければ難しいからだ(図1)。

photo 図1:ICAOの2050年までのCO2削減の取り組みの方向性(クリックで拡大)※出典:ICAO資料を基に国土交通省・経済産業省が作成

 日本では、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)を中心に2008年から「Cool Earth‐エネルギー革新技術計画」を開始。バイオマスのガス化および液化(BTL)、微細藻類由来のバイオ燃料製造技術開発などの次世代技術の開発を進めている(図2)。

photo 図2:BTLによるバイオ液体燃料製造工程の例(上図)と微細藻由来バイオ液体燃料製造工程の例(下図)(クリックで拡大)※出典:国土交通省、経済産業省)

 日本では、特に藻類バイオマス技術を利用してバイオジェット燃料を合成する事業開発が進んでいる。JX日鉱日石エネルギーと日立プラントテクノロジー、ユーグレナの3社は2010年からユーグレナ(ミドリムシ)を利用したバイオジェット燃料の要素技術開発を開始した。ユーグレナは米国で航空機向け次世代バイオ燃料の実現に向けた研究を開始しており、2020年の実用化を目指しているという(関連記事)。また、IHIなど3社は2013年にA重油と似たバイオ油を作りだす屋外培養試験プラントの技術開発に成功している(関連記事)。

 航空会社のバイオ燃料の採用事例としては、2009年の日本航空に続き、2012年には全日本空輸と日本貨物空港が試験飛行を実施している(関連記事)。

ブラジル・ワールドカップにおけるバイオジェットフライト

 海外では、イベントを契機として、バイオジェットフライトを実施した例も存在する。2014年に開催された「2014 FIFAワールドカップ ブラジル大会」だ。同大会では、ブラジル政府公認のワールドカッププロモーションの一環として、バイオジェット燃料を用いたフライトを実施した。ブラジルの航空会社「GOL Airlines」によるもので、大会期間中に競技会場となる都市を結ぶ合計200フライトを対象として実施したという。

photo FIFAワールドカップ ブラジル大会によるバイオジェットフライト実施の様子 ※出典:Inter‐American Development Bank

 これらのイベントを契機としたフライトをきっかけに、ブラジルでは、商用フライトへと移行が進んだとみられている。日本でもオリンピック・パラリンピックを契機にバイオジェットフライトを実施することで、商用化を早めることが狙いだ。

 しかし、バイオジェットフライトを実現するには、現実的にはさまざまな問題が存在している。

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