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» 2015年07月17日 11時00分 UPDATE

スマートアグリ:人工知能で野菜を栽培する時代へ、クラウドでLEDを自動制御する植物工場が稼働

スタンシステムと日本IBMは、自動制御式LED植物工場が2015年3月31日に稼働したことを発表した。

[三島一孝,スマートジャパン]

 植物工場とは、施設内でLED照明や空調、二酸化炭素、水分や肥料などを人工的に制御し、季節や外部環境に影響されずに農作物を生産できるシステムのこと。太陽光を利用するものと完全に閉鎖した空間で行うものがあるが、完全閉鎖型植物工場は、自然環境に左右されない安定した環境を作り出すため、1年中安定した生産が可能な他、農地以外でも設置可能な点や、無農薬生産が可能である点などの利点がある。今回スタンシステムが稼働させた植物工場は完全閉鎖型でさらにLEDによる光を自動制御するものだ(図1)。

photo 図1:スタンシステムが今回稼働させた自動制御式LED植物工場 ※出典:日本IBM

 自動制御式LED植物工場は、発芽、光合成の促進、葉の形成、開花調節といった作物の生育状況に適したLED光(周波数・光力)を照射させることにより、作物に最適な栽培環境を維持して植物を育てることができる。発育に応じたきめ細かなLED光質環境を構築することが必要であり、そのための優れた栽培レシピの作成や、自動化によるコスト削減が課題となっていた。

 スタンシステムの自動制御式LED植物工場は、温度センサー、湿度センサー、CO2センサー、水分センサー、pHセンサー、ECセンサー、LED光装置、Webカメラを配置し、作物生育画像や温度、湿度、二酸化炭素といった作物栽培環境データを自動収集して生育状況を把握する。

 各機器から集まるセンサー・データや画像データを自動収集して分析し、栽培作物毎の栽培レシピに基づいて、多数のLED管(赤・青・緑)をオンとオフで自動制御して光力調整も行い、作物に最適な栽培環境を維持して植物を育てる。また、LED植物工場内の栽培環境はセンサーやカメラで常時監視している。

 この植物工場を実現するには高度なITシステムが必要となる。具体的には、照明自動制御システム、自動栽培用レシピ管理システム、栽培履歴情報収集分析システム、画像処理システムなどが必要となる。スタンシステムではこれらをIBMのクラウドサービス「SoftLayer」を活用して東京のデータセンターで構築。米国のサンノゼのデータセンターをバックアップとしたシステムで運営を行っている(図2)。

photo 図2:スタンシステムのLED Smart Plant 設備の概要(クリックで拡大)※出典:スタンシステム

 スタンシステムでは今後、自社で蓄積したノウハウを踏まえ、LED植物工場用栽培環境最適化システム「スマートプラント」として、栽培情報ビックデータ分析に基づいた栽培作物毎のレシピ開発も含めた総合サービスを提供していく予定。さらに、IBMの人工知能「Watson」を利用した植物工場環境の最適制御システムの構築や導入も検討していくとしている。

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