LNGの輸入量が4年間に25%増加、近隣のアジア大洋州から半分以上化石燃料に依存する日本の電力事情(3)(1/3 ページ)

日本が輸入する化石燃料の中で大きく伸びているのはLNGだ。最近の4年間に輸入量が25%も増加した。輸入先のトップはオーストラリアで、次いでマレーシアが多い。日本から近いアジア大洋州が過半数を占める一方、中東は3割以下にとどまる。地政学の点でも石油より有利である。

» 2015年07月24日 13時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

第2回:「電気料金が4年間で25%も値上がり、それでも1980年代より安い」

 3種類の化石燃料の輸入量を見比べてみると、日本のエネルギーの方向性がわかる。過去15年間にわたってLNG(液化天然ガス)だけが一貫して増えてきた(図1の上)。特に直近の2011〜2014年度の4年間に25%も伸びている。石炭も増加傾向にあるが、年によって増減がある(図1の中)。一方で石油の輸入量は15年間に20%も縮小した(図1の下)。

図1 化石燃料の輸入量。LNG(上)、石炭(中)、原油(下)。出典:資源エネルギー庁(財務省の資料をもとに作成)

 石油を大量に消費する自動車産業の動向からも、こうした傾向が続くことは確実だ。これから国を挙げて取り組む燃料電池の分野では、燃料になる水素は天然ガスから製造する方法が主流になっている。水素エネルギーが拡大する東京オリンピック・パラリンピック以降の2020年代に向けてLNGの需要は増えていく。

 日本のエネルギー戦略で極めて重要な役割を担うLNGだが、消費量の98%を輸入に頼らざるを得ないのが現状だ。長期にわたって安定供給を維持できるかが大きな課題で、世界各国の天然ガスの生産量によって影響を受ける。

 今のところ輸入先はアジア大洋州(オセアニア)に多く、日本から近いために輸送コストは安く済む。最大の輸入先はオーストラリアで、全体の21%にのぼる(図2)。そのほかにマレーシア、インドネシア、ブルネイを加えたアジア大洋州の4カ国で51%に達する。地政学の点でリスクがある中東からの輸入量は3割弱にとどまっている。

図2 日本のLNGの輸入先(2013年度)。出典:資源エネルギー庁(財務省の資料をもとに作成)
       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.