次世代の発電効率は3割アップ、燃料費とCO2を減らす火力発電の最新技術を学ぶ(1)(1/2 ページ)

15年後の2030年になっても、日本の電力の半分以上は火力発電に依存する。燃料費とCO2排出量を削減するためには、発電効率を引き上げるしかない。日本が世界に誇る石炭火力とLNG火力の最新技術を進化させれば、2030年までに現在の発電効率を3割以上も高めることが可能だ。

» 2015年08月10日 15時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 火力発電の高効率化は日本の電力業界はもとより、全世界の地球温暖化対策に大きな効果をもたらす。政府は高効率化を実現するためのロードマップを新たに策定して、国の総力を挙げて次世代の技術開発を推進していく方向性を示した(図1)。

図1 次世代の火力発電の技術開発ロードマップ(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 このロードマップには9種類の発電技術に加えて、火力発電で排出する大量の二酸化炭素(CO2)を分離・回収・有効利用する6種類の技術が含まれている。最終ターゲットは2030年までに火力発電のCO2排出量を3割削減することだ(図2)。

図2 2030年の電源構成と温室効果ガス削減目標。出典:資源エネルギー庁

 政府が想定する2030年の電源構成では、LNG(液化天然ガス)と石炭を燃料に使う火力発電が全体の5割以上を占める。その中には古い設備と新しい設備が混在するため、これから2030年までに運転を開始するLNG火力と石炭火力は発電効率を大幅に引き上げる必要がある。ロードマップで掲げた目標はLNG火力で63%、石炭火力で55%だ。現時点で運転中の発電設備と比べて平均で3割以上も高い。

 並行して再生可能エネルギーと原子力の比率を増やすことで、CO2排出量と燃料費の両方を削減する(図3)。燃料費はLNGと石炭の輸入価格の影響を受けるが、価格が同じであればCO2排出量に比例して下がっていく。その結果、電気料金が安くなり、地球環境にも家計にもやさしい状況が生まれる。

図3 火力発電の高効率化による燃料費の削減イメージ。出典:資源エネルギー庁
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