洋上風力と潮流発電に日本海で挑む、内陸には雪と太陽光と水力発電エネルギー列島2015年版(17)新潟(2/3 ページ)

» 2015年08月11日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

人口400人の島で潮流発電の実証試験

図3 粟島沖の海洋エネルギー実証フィールド。出典:新潟県産業労働観光部

 洋上風力発電の開発計画が進む岩船港から沖合に20キロメートル離れたところに、人口400人余りの粟島(あわしま)がある。岩船港からフェリーで1時間30分の距離にある粟島の北側の洋上では、ひと足早く潮流発電の実証プロジェクトが始まっている(図3)。

 国が日本近海に広がる海洋エネルギーを活用するための実証フィールドとして選んだ海域の1つだ。2014年10月に小型の潮流発電装置を使って4日間の実証試験が行われた。新潟県の海洋エネルギー研究会と日本大学の理工学部が共同で実施した試験で、地元の粟島浦村と粟島浦漁業協同組合も協力して島を挙げて取り組んだ。

 実証試験に利用した潮流発電装置は3メートル四方の浮体で造られている。浮体の上部に発電能力が100W(ワット)の発電機を搭載して、下部には縦軸のまわりに4枚の細長い羽根を組み合わせた水車が付いている(図4)。この潮流発電装置を漁船の横に固定して、島の北側の海域まで曳航して試験を実施した。

図4 浮体式の小型潮流発電装置。出典:新潟県産業労働観光部

 実証試験を通じて発電性能のほかに防水性や強度などを検証して、日本の近海に適した潮流発電装置の開発につなげていく。新潟県の計画では発電能力が200kW(キロワット)クラスの潮流発電装置を実用化して、離島に豊富にある海洋エネルギーを利用した分散型の電力源として発展させる方針だ。

 実証試験に続いて2015年7月8日から流況調査に着手した。実証フィールド内の2カ所にブイを付けた流速計を係留して、10分間隔で潮流の速さと向きを測定する(図5)。12月8日までの5カ月間かけて連続で計測したデータを分析して公開する予定だ。粟島沖の実証フィールドを使って企業や大学が潮流発電に取り組みやすい環境を整備するためである。

図5 実証フィールド内で実施中の流況調査。出典:新潟県産業労働観光部

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