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» 2015年09月14日 13時00分 UPDATE

省エネ機器:水処理技術も省エネに、電力消費を3分の2に抑える膜モジュール

水処理技術の1つに微生物(活性汚泥)槽の中に膜を沈めて吸引ろ過を行う膜分離活性汚泥処理がある。この処理では膜の汚れを防止するため、常に空気によるバブリング行う必要があり、この部分の電力コストが高い。そこで住友電気工業は電気使用量を従来の3分の2以下に低減できる新たな膜モジュールを開発した。

[長町基,スマートジャパン]

 住友電気工業はPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)中空糸膜を用いた膜分離活性汚泥処理(MBR)用の大型モジュールを開発した。同製品を排水処理に用いることで省エネ化が図られるほか、設備のイニシャルコストが低減できるなど、水処理事業全体の低コスト化が実現できるという。

 膜を使った代表的な水処理方法である膜分離活性汚泥処理は、微生物(活性汚泥)槽の中に膜を沈めて吸引ろ過を行う(図1)。この際、微生物自体による膜の汚れを防止するため、曝気(空気によるバブリング)して膜を振動させ、常時洗浄することが一般的だ。しかし、この曝気には多くの電気エネルギーを必要とする。

rk_150911_sumitomo01.jpg 図1 膜分離活性汚泥処理のイメージ 出典:住友電気工業

 中空糸膜は細い中空繊維の表面に微細な孔が多数あいたろ過フィルターで、同社が開発したPTFE中空糸膜は、高い柔軟性により膜が揺れやすく、その素材特性から膜が汚れにくいという特徴をもつ。また、単一素材で作られた中空糸膜としては、他の素材の膜と比べて8〜10倍の強度がある。この柔軟性と強度を併せ持つという特性を活用して、通常は最大2メートルほどである膜の長さを3メートルに長尺化し、振幅を大きくすることにより、膜洗浄力も大幅に向上した。

 一方、膜を高密度に配置することにより、膜モジュール1台当たりのろ過面積も最大約60平方メートルと拡大することができた。これらの結果、処理水あたりの曝気風量を下げることができ、電気使用量を従来の3分の2以下に低減することが可能となった。

 この成果は日本下水道事業団が行った膜分離活性汚泥処理の1年間の研究によって、曝気エネルギーも含めた1立方メートルの処理に必要なエネルギーの合計を0.4kWh以下(MBR普及促進の目標値)に抑えられることが実証されているという(図2)。さらに、同一処理量当たりの設置面積も従来の約3分の2にコンパクト化できるため、水槽の建築費や配管部材などのイニシャルコストを下げることにもつながる。

rk_150911_sumitomo02.jpg 図2 日本下水道事業団の研究で使われた3メートルの膜モジュール 出典:住友電気工業

 同社では世界の下水処理などの排水処理(膜分離活性汚泥処理)市場に向け、低コストで処理が可能な大型膜モジュールを市場投入していくことで、これまで重点的に販売してきた韓国、台湾、中国に加え、北米や東南アジアにも販路を拡大するなど、さらに水処理事業を強化していく方針だ。

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