発電装置は、メタンおよびアンモニアガス双方を大流量かつ安定に供給できる設備を整備するとともに、ガスタービンの燃料流量制御プログラムを改良して灯油、アンモニア、メタンのうち2系統まで任意の組み合わせで燃料供給を行えるようにした(図1)。
その結果、定格出力が50kWのガスタービン発電装置を用いて、メタン−アンモニア混焼およびアンモニア専焼により約80%出力の41.8kW発電に成功した。また、燃焼後の窒素酸化物(NOx)を含んだ排出ガスに適量のアンモニアを添加し、脱硝装置で処理することでNOxを環境省の排出基準(16%酸素換算で70ppm)に十分適合できる10ppm未満(16%酸素換算で25ppm未満)までに抑制できたという。
メタン−アンモニア混焼試験では、液体燃料用の噴射弁に灯油を供給してガスタービンを起動した。回転数が速やかに上昇した後、回転数75000rpm(1分間の回数)で維持しながら発電を開始。回転数が安定した状態で26kWの発電を行った後、気体燃料用の噴射弁にメタンを供給してメタン燃焼を行い、灯油供給を停止した。続いてメタンにアンモニアを体積流量比1:2.5(発熱量で1:1)になるまで混合しても安定に発電できた。その後、燃料供給と回転数を制御しながら発電出力を段階的に増大させ、定格回転数の80000rpmで41.8kWを達成したという(図2)。
アンモニア専焼試験では灯油を供給してガスタービンを起動した後に、アンモニア供給量を増やしてアンモニア専焼に移行したうえで出力を確認したところ、定格回転数の80000rpmで発電出力41.8kWを達成した(図3)。
これらの試験結果は、天然ガスを主な燃料とする大型火力発電所において、燃料の一部をアンモニアに置き換えるといった段階的な導入や、アンモニア専焼によるCO2フリーの大型発電の可能性があることを意味し、温室効果ガスを大幅に削減できる、水素キャリアとしてのアンモニアのポテンシャルを示しているといえる。
アンモニアの燃焼においては、窒素酸化物などの有害ガスが課題として存在するが、いずれの試験においても燃焼後の排出ガスにアンモニアを適量添加することによりNOxを脱硝装置で処理して排出量を10ppm未満に削減できたという。アンモニア専焼では、未燃アンモニアが11ppm残留したが脱硝装置の下流では検出されなかった。メタン−アンモニア混焼では同じ発電条件でも未燃アンモニアは残留せず、アンモニア専焼よりも燃焼が強化されていることが明らかになったとしている。
今後は、産総研において、メタン−アンモニア混焼と、アンモニア専焼によるガスタービンの特性を詳細に調べ、燃焼強化と低NOx燃焼ならびに実用アンモニア発電システムの実現につながる知見の獲得を目指すという。
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