“名ばかり発電事業者”の認定取り消しを強化、市場健全化へ一歩一歩電力供給サービス(2/4 ページ)

» 2015年09月29日 07時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]

本来の目的にそぐわない事業者の存在

 政府のさまざまな支援は、再生可能エネルギーの比率を拡大し、持続可能なエネルギー社会の実現を目指すというものだ。そのためには「支援によって実際の再生可能エネルギーの発電量を増やす」ということが本来の目的である。しかし、実際には政府の支援に報いるほどは再生可能エネルギーが増えていないという課題が存在する。

 再生可能エネルギーは、2015年3月末時点で買取制度の認定を受けた発電設備の総容量は8768万kW(キロワット)に達しているが、実際に運転を開始した発電設備は1875万kWで、8割近くが稼働していないという状況である(図3)。日本政府が「認定」によって求める結果とは、大きな乖離(かいり)が生まれているわけだ(関連記事)。

photo 図3 固定価格買取制度による再生可能エネルギーの発電設備の導入量と認定量(バイオマスは燃料に占めるバイオマスの比率を反映)(クリックで拡大)出典:資源エネルギー庁

 この状況は急速な普及の拡大が呼び起こしたという面もあり、一概に全てが不正業者であるとは言い切れないが、転売や、将来の事業費用低減を待って収益を最大化するために、これらの権利のみを押さえ、運転開始に向けた取り組みを行わない案件(認定済み・未稼働案件)が数多く存在することは事実である。

 拡大を急ぐ経済産業省のチェック機能が甘かったという面もある。2015年9月8日には総務省が、経産省に確認を徹底するような勧告を行うような状況も発生している(関連記事)。これは2014年5〜11月までの間にFITに認定された出力30kW以上、50kW未満の太陽光発電設備、全3万2813設備のうち1451設備が経済産業省が原則禁止している「分割案件」の疑いがあることが分かったことに対するものだ。

 これらの、再生可能エネルギー急拡大の“ゆがみ”を是正するために、政府も市場の健全化に向けた取り組みを推進している。その1つとして、「認定を受けても発電事業を行わない事業者」の認定取り消しを強化する方針を固めた。

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