農業地帯の再生可能エネルギーは小水力発電にも拡大してきた。同じ長浜市内で農業用水路を利用した小水力発電設備が相次いで運転を開始している。市内を流れる「中央幹線用水路」には、落差工(らくさこう)と呼ぶ階段状の構造が随所に設けられている。わずか1メートル程度の落差しかない場所が多いが、小さな落差でも発電設備を導入することは可能だ。
すでに6カ所の落差工で発電が始まっていて、いずれも小さい落差で発電できるクロスフロー水車を採用した(図5)。発電能力は1カ所あたり10〜15kWで、年間の発電量は6カ所を合計して40万kWhになる。100世帯分の電力だが、これまで農業にしか使っていなかった用水路に新たな用途が加わり、災害時には独立の電源としても利用できる。
6カ所のうち2カ所は大阪ガスグループが発電事業者になって、農業用水路の管理者に使用料を支払うスキームで実施する。このプロジェクトは滋賀県が農村の地域資源を活用した再生可能エネルギーを創出する取り組みとして推進している。今後さらに導入場所を拡大していく予定だ。
滋賀県内に小水力発電を普及させるプロジェクトの1つに、農村の「近いエネルギー」を推進する事業がある。発電能力が1kWに満たない簡易型の小水力発電設備を設置して、農民の身近な場所でエネルギーの地産地消を実施する試みである。長浜市をはじめ県内の6カ所で運転・管理状況の検証を進めている(図6)。
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