CTCが構築したシステムはSAP社のデータベース技術「HANA」とHP(ヒューレット・パッカード)社のサーバー「HP Integrity Superdome X」の大容量メモリーを組み合わせた。1台のサーバーに内蔵した12TB(テラバイト)のメモリーにスマートメーターの全データを入れて高速に処理することができる(図2)。
電力会社が運用するスマートメーターの管理システムでは、電力使用量のデータを集計して料金を計算する機能が中心になっている。「大量のデータを使ったビッグデータ分析を実行しようとすると、メモリーが不足して計算できないケースが多く発生する」(青木氏)。この問題をSAPのソフトウエアとHPのハードウエアを組み合わせて解決した。
SAPのHANAには「PAL(Predictive Analysis Library)」と呼ぶ統計分析の機能がある。電力の利用パターンを分類する場合には、クラスタ生成の統計アルゴリズムである「K-means法」を使う。電力の需要予測には時系列分析モデルの「ARIMA」の機能が有効だ(図3)。
小売全面自由化に伴って、電力を販売する小売電気事業者は毎日の需要予測を前日の夕方までに国の運営機関に提出することが義務づけられる。最近は太陽光や風力の発電量が拡大したことで、従来の手法では需要と供給量を正確に予測することがむずかしくなってきた。その点でも過去の膨大なデータを分析して予測する手法が効果を発揮する期待は大きい。
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