世界を追い抜いた日本のスマートホーム、ECHONET Liteが核にスマートホーム(2/4 ページ)

» 2015年10月16日 09時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]

ECHONET Liteの国際標準化

photo JSCAスマートハウスビル標準事業促進検討会 副座長 神奈川工科大学教授の一色正男氏

 日本においてスマートハウス実現の動きが急速に進んだ要因には、もちろん電力システム改革などの背景が大きいが、技術的な側面としては家庭内の通信プロトコルの標準化が順調に進んだことが挙げられる。エコーネットコンソーシアムが推進する「ECHONET Lite」への取り組みである(関連記事)。

 スマートハウスの規格選定に取り組んだ神奈川工科大学の一色氏は「従来は省エネだけを考えていればよかったが現在は省エネ、創エネ、畜エネの全ての側面で考えなければならなくなった。こうなるとICTを活用したエネルギー制御が必要になる。オープンな規格を検討する中でオープンスタンダードでIPベースでコマンドでの拡張ができるECHONET Liteを選んだ」と述べている。

スマートハウス実現への環境整備

photo 経済産業省 商務情報政策局 情報経済課長 佐野究一郎氏

 もともと日本の電力消費の状況を見ると、エアコンなど個別の機器の省エネ化は進んでおり、例えばエアコンなどでは30%以上電力消費量低減が進んでいるという。ただ日本全体の電力利用総量を見ると約10年間で2倍以上となっており「単体の機器での省エネではなくて、つながる中で全体の消費電力を管理していく取り組みが求められていた」と経済産業省の佐野氏は述べている。

 

 佐野氏は「基本的にはスマートハウスの実現には、産官学の連携、他規格含めた相互接続性、国際標準化、新規サービスの創出の4つの戦略を掲げて取り組んできた」と述べる。例えば、これらの取り組みは、JSCAスマートハウス・ビルワーキンググループが主導して進めたが、同ワーキンググループには企業や団体など324社・団体が所属しており、所属団体の垣根を越えて議論を進めることができたという。

 国際標準化への取り組みも、機器については2013年に「IEC62394 Ed2.0」として認証を完了。インタフェースやミドルウェアについても2014年に「ISO/IEC 14543-4-3」として標準化されている。相互接続性の確保については、重点8機器における標準仕様書を公開した他「2016年度からは第三者認証の仕組みの構築も進めていく」(佐野氏)という。

 新サービスの創出についても「大規模HEMS情報基盤整備事業」を2014年に開始。NTT東日本、KDDI、ソフトバンクBB、パナソニックを幹事会社とし、新たなサービス実現に取り組んでいる。佐野氏は「さまざまな環境整備が進んでおり、実際に多くの活動が広がってきた」と手応えを語る。

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