ボルボは一部の車両システムをさまざまなモデルで共有できるようにし、車両開発の効率化を図るモジュール化も推進している。その1つが中〜大型車向けのモジュールプラットフォームである「SPA(Scalable Product Architecture)」だ。先述した新型XC90はSPA採用モデルの第1号である。
SPAはパワートレインや電子システムなど、将来的に車両構造を変更する場合にも対応できるのがメリットだ。そしてボルボでは将来的な電動化車両の開発強化を見据え、SPAをガソリンエンジンやディーゼルエンジンだけでなく、EV/PHEVシステムにも対応させている。PHEVシステムでは内燃機関(エンジン)と電動モーター、電池パックなどを搭載する必要があり、一般的な車両ではこうしたPHEVシステムを搭載すると、車室内のスペースや荷室の容積に影響が出る。しかしSPAではそういった心配は不要になるという。
SPAは中〜大型車向けのプラットフォームだが、ボルボは今回の電動化戦略と併せてより小型な車両向けの新プラットフォーム「CMA(Compact Modular Architecture)」も発表。こちらもSPAと同様に内燃機関だけでなく、EVやPHEVにも対応している。ボルボは今後4年間で全ての新車をSPAとCMA採用車に切り替える方針で、同時にこれらのモジュールプラットフォームをベースにPHEVやEVなど電動化車両の開発にも注力していく。
ボルボ 代表取締役社長 兼 CEOを務めるホーカン・サムエルソン氏は今回の電動化戦略について「電動化車両がニッチなテクノロジーからメインストリームへと変わる時期がきた。2020年までに、ボルボの世界販売の10%は電動化車両になると確信してる」と語った。なお、2019年までに発売する予定の新開発のEVについては、今後詳細を発表するとしている。
最近ではドイツを中心に欧州自動車メーカーが日本市場へのPHEVの投入に注力し始めている。日本メーカーでは、先日2050年に向けた環境戦略を発表したトヨタ自動車もPHEVの開発に注力する方針を示した(関連記事)。欧州市場で人気のクリーンディーゼル市場の先行きががフォルクスワーゲンの不正問題の影響で不透明になり、さらに欧州を中心とした排ガス規制が強まる中、グローバル市場では中期的にPHEVに注目が集まっていく可能性は高いだろう。
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