小売電気事業者に8社を追加登録、大阪ガスや大和ハウスが電力販売へ:動き出す電力システム改革(46)(2/2 ページ)
さらに代理の事業者が需要家とのあいだで電力の小売供給契約を結ぶモデルも認められる。いわゆる「取次」にあたるケースだ。小売電気事業者と取次契約を締結済みの事業者であれば、需要家と小売供給契約を結ぶことができる(図3)。全国に多数の店舗をもつ流通業などは、このような形態で既存の電力会社や大手の新電力から小売業務を取り次ぐ可能性がある。
図3 小売電気事業者でなくても小売供給契約を締結できるケース。出典:電力取引監視等委員会
代理の事業者が需要家の代わりに電気料金の交渉や支払業務を代行するサービスも出てくる(図4)。たとえば通信サービスの会社が小売電気事業者から電力を安く買える仕組みを用意して、通信サービスとセット割引のメニューを需要家に提供する場合だ。通信サービス会社は小売電気事業者に登録しなくても、電力と通信のセット販売が可能になる。
図4 代理事業者が需要家に代わって料金の交渉や支払いを実施するケース。出典:電力取引監視等委員会
今後も小売電気事業者の登録が増えていくのと同時に、提携関係にある企業が電力の販売に続々と乗り出してくる。各社がガイドラインを順守したうえで、適切な営業行為を通じて料金とサービスの競争を進めれば自由化の意義は大きい。小売全面自由化まで6カ月を切って、新たな競争環境が広がってきた。
第47回:「発電設備の接続などで6カ月間に33件、電力会社の対応に苦情や相談」
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- 新電力40社が小売電気事業者の審査を通過、料金を決めて営業開始へ
2016年4月以降に電力を販売するためには「小売電気事業者」の登録が必要で、申請後に経済産業省と電力取引監視等委員会による審査を通過しなくてはならない。第1回目の審査で40社が適格と認められて、経済産業省が事前登録を完了した。各社は料金プランなどを決めて営業活動を開始する。
- 電力小売り完全自由化、消費者の期待は「電気とガスのセット割引」
調査会社のプライスウォーターハウスクーパースは2016年4月に控える電力小売り完全自由化に向けて、消費者の意識調査を行った。電気料金の割引への期待については減少傾向がある一方で、電気とガスのセット割引には高い期待感があることが明らかになった。
- 似て非なる電力とガスの小売自由化、市場開放の共通点と相違点
電力に続くガスの小売全面自由化が2017年4月に始まる。全国に3000万の需要家を抱える都市ガスの市場開放に向けて電力会社の動きも活発になってきた。政府は電力と同様に料金規制の撤廃や託送供給の拡大を推進するが、都市ガスならではの同時同量制度や導管の運用ルールに課題が残る。
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