北海道の太陽光で発電効率20%超に挑む、両面発電×追尾式で実証自然エネルギー(1/2 ページ)

北海道では年間の日射量が全国平均を上回る一方で冬の降雪量も多い。雪国の再生可能エネルギーを拡大する取り組みとして、太陽光発電の効率を通常の1.5倍にあたる20%以上に高める実証事業が始まる。裏面でも発電できる太陽電池を採用して、太陽の動きを追いかける追尾式を併用する。

» 2015年10月26日 11時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 北海道庁と札幌市が補助金を交付して、「雪を克服する追尾式両面発電システムの開発事業」が2015年度内に始まる。太陽光パネルの上に雪が積もることを防ぎながら、設備利用率(発電能力に対する年間の発電量)が20%を超える高効率の太陽光発電を目指すプロジェクトだ。

 太陽光発電設備には2種類の技術を組み合わせる(図1)。1つは太陽の動きに合わせてパネルの向きを変えられる追尾式の太陽電池システムである。支柱の上に可動式の架台を搭載して、その上に太陽光パネルを並べて設置する。降雪時には地面に対して垂直方向にパネル面を立てて積雪を防ぐこともできる。

図1 追尾式の太陽電池システム(左)、両面発電の太陽電池システム(右)。出典:フジプレアム

 もう1つの技術はパネルの表と裏の両面で発電できる太陽電池だ。太陽光のエネルギーを電力に変換する半導体の両側に受光機構を組み込んだものである。地面に反射した太陽光で発電できるうえに、降雪時に垂直の状態になっても両面を使って発電を続けることができる。

 日本国内の太陽光発電では設備利用率の標準値は13%程度である。追尾式を使うと発電量は1.4倍になり、さらに両面発電で1.2倍に増える見通しだ。2つの組み合わせで1.68倍の発電量になれば、設備利用率は21.8%に上昇する。

 追尾式を開発したフジプレアムと両面発電システムのPVG Solutionsがコンソーシアムを組んで、札幌市内にある北海道科学大学(旧・北海道工業大学)のキャンパスで実証事業を開始する計画だ。

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