電力会社10社の2015年度上半期の販売電力量がまとまった。8つの地域で前年の実績を下回ったが、最も大きく減らしたのは北海道で5.0%減、次いで関西が3.2%減になった。いずれも震災後に2度の値上げを実施したことが需要を押し下げた。前年を上回ったのは北陸と沖縄だけである。
2015年度の上半期(4〜9月)に電力会社10社が販売した電力量は前年比で1.9%の減少だった。10社のうち8社が前年割れで、2社は前年を上回った(図1)。震災後に電気料金を値上げしたかどうかが明確な差になって表れている。
4年間に2回の値上げを実施した北海道電力の販売量は前年比5.0%減で、10社の中で最大の落ち込みになった。企業向けが5.7%減、家庭向けの「電灯」も3.4%減っている。2014年11月に実施した2回目の値上げを受けて、企業と家庭の双方で節電の取り組みが進んだ結果だ。
同様に2回の値上げを実施した関西電力でも販売量が前年から3.2%も減少した。企業向けが4.4%減に対して、家庭向けは0.9%の小幅な減少にとどまったが、それには理由がある。企業向けの値上げは4月だったが、家庭向けは国の認可が下りて6月に実施した。さらに家庭向けは軽減措置として9月まで値上げ幅を縮小していた。10月からの下半期は高い単価になるため、冬に向けて節電が進み、販売量を押し下げる可能性が大きい。
家庭を中心とする低圧の契約数は過去1年間で減少している地域が多い。家庭で標準的に使われている「従量電灯」の契約数を見ると、前年と比べて増えたのは東京・中部・沖縄の3地域だけで、それ以外の7地域では減っている(図2)。関西では1万7000件以上も契約数が減少した。
住宅や商店の数が増減している影響と考えられるが、2016年4月には小売全面自由化によって電力会社の契約数が減ることは確実な情勢だ。電気料金の引き下げに加えて、消費者にとって魅力あるサービスを展開していかないと、販売電力量の減少傾向に歯止めをかけることはむずかしくなる。企業向けも同様で、電力会社にとっては厳しい競争が加速していく。
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