電気料金の燃料費調整額が下がる、東京電力は1kWhあたり4円近くも:電力供給サービス(2/2 ページ)
電力会社の燃料費調整単価が平均で2円低下すると、全国の利用者の負担額はどのくらい減るのか。2014年度の電力会社10社の販売量(8230億kWh)で計算すると総額で1兆6000億円以上になる。
そこで思い出されるのが、政府が原子力発電の運転停止の影響として試算した火力発電の燃料費増加額だ。原子力の代わりに火力発電所を稼働させた結果、2014年度には2010年度と比べて3兆4000億円も燃料費が増加したと発表している(図3)。ただし、この金額は震災前の原子力による年間発電量を使って計算したもので、実際に震災後の火力発電で増加した電力量で算出したものではない。
図3 原子力発電の運転停止に伴う火力発電の燃料費増加額(政府の委員会による試算、画像をクリックすると拡大)。出典:電力需給検証小委員会
自然エネルギー財団が実際の発電量をもとに試算した結果では、火力発電による燃料費の増加額は1兆8000億円だった。この試算方法を適用すると、2015年度には火力発電の燃料費が震災前の水準まで近づく見込みだ。もはや燃料費の問題も原子力発電所を再稼働する理由にならない。
- 電力会社の収益改善が加速、上半期の営業利益が1兆円を超える
2015年度上半期の電力会社の決算がまとまった。10社を合計した売上高は前年から2.8%減少したものの、営業利益は2倍に増えて1兆円を突破した。原油やLNGの輸入価格が1年間で5割近く下がった効果によるものだ。原子力発電所を再稼働しなくても利益を出せる状況になってきた。
- 火力発電所のタービンを更新、燃料費を1基で10億円削減
東京電力が運転開始から20年も経たない火力発電設備の更新を進めている。コンバインドサイクル方式で高効率を発揮する発電設備だが、ガスタービンと蒸気タービンを交換して1基あたりの発電能力を2万7000kW引き上げる。合計8基の更新工事を2018年1月までに完了する予定だ。
- 電気料金を変動させる「燃料費調整単価」
電力会社が企業や家庭に請求する電気料金を計算する時に、毎月の単価を変動させるものが1つだけある。「燃料費調整単価」と呼ばれる上乗せ分で、化石燃料の輸入価格に連動して上下する。電力会社によって石油・LNG・石炭の構成比が違うため、燃料費調整単価の変動額も各社で差がある。
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