石炭火力とLNG火力でも老朽化は進んでいる。石炭火力では全体の2割以上を1960年代から導入が始まった古い発電技術に依存している(図4)。今後は「USC(Ultra Super Critical、超々臨界圧)」が主流になり、新設の石炭火力はUSCを採用することが最低条件になる。
経済産業省と環境省は共同で火力発電設備を新設する場合のガイドライン「BAT(Best Available Technology、最新鋭の発電技術)」を規定している。BATでは商用段階の石炭火力に対してUSCを推奨して、発電効率は42%以上を設定した。ただし設計上の数値に比べて実際の数値は1%ほど低くなることから、新たに導入する発電効率の基準では目標値を41%にする案が有力だ。
新基準の発電効率は「発電端」の数値を採用する。燃料の発熱量から電力に変換できる割合を発電設備の出力で算出したものである。このほかに発電所から送電線に出す時点の電力で算出する「送電端」を指標に使う場合がある(図5)。当然ながら発電端のほうが効率は高く、BATの数値では石炭火力で3〜5ポイント、LNG火力で1〜1.5ポイントほど送電端を上回る。
LNG火力では「GTCC(ガスタービンコンバインドサイクル)」が最新の発電技術である。GTCCはガスを燃焼させて発電した後に、排熱を利用して蒸気を発生させてから再び発電することができる。燃焼温度が高いほど発電効率が高く、現在は1500〜1600度クラスが商用段階に入っている(図6)。これをもとに新基準の発電効率は48%(発電端)に設定する見通しだ。
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