「直流エアコン」がついに発売へ、12月にシャープが業界初省エネ機器(1/2 ページ)

シャープは業界で初めて、交流電流と直流電流のどちらの電流も受けられるハイブリッド型エアコンを2015年12月中旬に発売する。月産300台を計画する。

» 2015年11月30日 07時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]

 シャープでは以前から直流(DC)電流をそのまま利用できる家電の開発を進めてきたが、2015年7月に開催された太陽光発電関連の展示会「PVJapan2015」に同製品群を出展。製品化を本格的に進める方針を示していた(関連記事)。

 現在の送配電網では電圧の大きさを変えやすく高電圧での電力ロスの少ない交流(AC)が使われているが、太陽光発電などで生まれる電力は直流(DC)である。例えば、太陽光発電で発電した電力を一度蓄電池で蓄積し、そしてそれをエアコンで利用するという場合、太陽光発電でDCで生まれた電力を、パワコンでACに変換し、蓄電池でさらにDCに変換して蓄電する。それを使ってエアコンを動かす時には、蓄電池のDCの電力をパワコンでACに変換し、エアコンに送りこむ。その後さらにエアコン内でDCに変換して使うということになる。非常に多くのACとDCの変換が発生し、それにより生まれた電力を多くが失われている状況だ(関連記事)。

直流家電の弱点をカバーする“ハイブリッド型”

 「直流家電」はこれらを解決するために直流電流をそのまま使える家電として以前から多くの研究開発が進められてきた。特に、太陽光発電や蓄電池など再生可能エネルギーの普及が広がってきたことにより注目を集めたが、利用には既存の設備更新が必要であることなどから、実用化が進まない状況が進んでいた。

 シャープが今回発表した「DCハイブリッドエアコン」は、この問題を解決するものだ。通常のエアコンと同様に室内機にAC電流の入力口をそのまま備える一方で、室外機側にDC電流の入力口と、DC-DCコンバータを搭載し、ACとDCのそれぞれの電流を受けられるようにしたことがポイントとなる。

 室外機のDC入力は同社製クラウド蓄電池システムとDC接続することが可能で、DC電流は蓄電池を経由したもののみ利用可能。太陽光発電の電力を直接利用する時はパワーコンディショナー経由でAC電流を利用することになる。AC/DCの入力切り替えはHEMS(家庭用エネルギーマネジメントシステム)で制御し、エアコンへの指示は外部接続可能な「HEMSコントローラー」を通じて行う。そのため、直流エアコンを活用するためには、蓄電池システムとHEMSの導入は必須となる(図1)。

photo 図1 シャープのDCハイブリッドエアコン 出典:シャープ

 蓄電池からエアコン室外機へは完全にDC電流での給電となるが、AC給電の場合と比べると電力変換ロスを約5%低減できるという。また稼働中のエアコンが「蓄電池の電気による運転」や「太陽光発電の電気による運転」の場合に、エアコン本体の表示ランプや音声でお知らせする機能なども備えている。

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