ミドリムシで空を飛ぶ「国産バイオ燃料計画」、製造プラント建設で2020年に実現へ:自然エネルギー(3/3 ページ)
今回建設する製造実証プラントで採用するバイオ燃料の製造技術は、米国のChevron社とARA社が共同開発した「バイオ燃料アイソコンバージョンプロセス技術」を利用する。ユーグレナは2015年6月に、米国のChevron Lummus Global社との間で同技術のライセンスおよびエンジニアリング契約を締結している。
このライセンスを利用し、同技術を千代田化工建設が日本向けにローカライズして製造実証プラントの設計・建設を行う。バイオ燃料アイソコンバージョンプロセス技術が、ユーグレナ以外の原料からのバイオ燃料の製造を可能にしている(図5)。
図5 「バイオ燃料アイソコンバージョンプロセス技術」の概要(クリックで拡大)出典:ユーグレナ
製造実証プラントでは、日産5バレル(約800リットル)、年間125キロリットルのバイオ燃料を製造する計画だ。なお、全日本空輸は2020年までに航空機へ製造したバイオジェット燃料の使用を開始し、CO2排出量の削減を目指す。2014年からユーグレナとバイオディーゼル燃料の共同研究を進めているいすゞ自動車も、バスなどに利用していく計画だ(図6)。
図6 製造実証プラントにおける生産計画(クリックで拡大)出典:ユーグレナ
さらにユーグレナでは、今回発表した製造実証プラントの稼働を経て、2020年以降をめどに製造実証プラントの数百倍の規模を想定した商業用プラントの建設計画を推進するとしている。(図7)。
図7 今後の計画(クリックで拡大)出典:ユーグレナ
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