強まる省エネ規制にどう対処するか、悩める担当者を救う“武器としてのIT”省エネ機器(1/3 ページ)

東京ビッグサイト共同開催された「システムコントロールフェア2015」と「計測展2015 TOKYO」では、今後さらに高まっていく省エネ需要に向けたITソリューションが複数披露された。本稿ではその一部を紹介していく。

» 2015年12月11日 07時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 日本政府は2030年時点でCO2などの地球温暖化につながるガスの排出量を、2013年比で26%削減するという目標を掲げている。この高い目標の達成に向け、産業・民生・運輸の各分野で今後さらに省エネ規制の強化が進む見通しだ。最近では従来製造業向けの省エネ規制だった「トップランナー制度」の流通・サービス業への適用や、2020年をめどに新築戸建て住宅の半数をエネルギー消費が実質ゼロの「ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)」とする方針などが政府内で固まりつつある。

 先日、東京ビッグサイトで「システムコントロールフェア2015」と「計測展2015 TOKYO」(2015年12月2〜4日)が共同開催された。ファクトリーオートメーションと計測機器の展示会だが、各社のブースでは省エネをサポートするさまざまなITソリューションも複数披露された。本稿ではその一部を紹介していく。

クラウドで施設の運用方法に合わせたエネルギー管理を実現

 アズビルは2015年4月から提供を開始しているビルのエネルギー管理や、設備管理業務の効率化を支援するクラウドサービスを展示した。アズビルのBA(Building Automation)システムと同社のクラウドセンターを専用回線で接続し、エネルギー使用量や運用状況などをデータを一元管理できる(図1)。

図1 アズビルが提供するクラウドサービス(クリックで拡大)

 既にアズビルのBAシステムを導入しているユーザーはすぐに利用を開始できる。今後は他のBAシステムなどにも対応していく方針だという。ビルに新たなハードウェア、アプリケーションを導入する必要がなく、導入コストを抑えたスモールスタートが可能だ。インターネット環境があればスマートフォンやタブレット端末などを通して、いつでもどこでも管理情報にアクセスできる(図2)。

図2 管理画面のイメージ(クリックで拡大)

 ビル管理者のみならず、入居するテナント事業者も一定の以上の延べ床面積や使用電力量を持つ場合は特定事業者として省エネやCO2排出量の削減に貢献していく必要がある。しかし空調や照明などの設備の管理者と、実際の使用者は異なることが多い。そこでアズビルでは、ビル管理者がクラウドサービスを通して、各テナント事業者に電力使用量などのエネルギー情報を開示できる機能も提供。こうしたテナントサービス機能の他、設備保全管理や遠隔制御、デマンドレスポンスに対応する機能など、施設のさまざまな運用方法に合わせた機能を拡充しているという。

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