近づく小売自由化の足音、蓄電池に分散エネルギー社会の夢を見る――2015年記事ランキングスマートジャパン 記事ランキング2015(2/3 ページ)

» 2015年12月28日 15時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

「電力+ガス」のセット割はどれくらい強いのか

 2016年4月から始まる電力小売全面自由化に続き、2017年からはガスの小売市場も自由化される見込みです。この仕組みについて解説した記事が2位にランクインしました。(第2位:ガスの小売全面自由化は2017年4月、電力とセット販売が可能に)。電力、ガスともにこれまでになかった顧客獲得競争がいよいよ始まります。

 ガスより先に行われる電力の小売全面自由化まで、残り約4カ月。ガス会社の視点から見れば、ガス自由化で一定の既存顧客が他社に奪われることを見積もる必要があるでしょう。これを見越して先に自由化される電力市場に参入し、新規顧客を確保していくという戦略は必須です。注目のガス最大手である東京ガスは先日、電力の小売自由化市場で最大のライバルといえる東京電力より先に、注目の電力料金プランを発表しました(関連記事:東京ガスの「ずっとも電気」、3種類のプランで東京電力に挑む)。一方の東京電力はさまざまな提携戦略を中心に、既存の電気顧客の確保に注力しています。

 電力とガスの小売自由化が近づいてきましたが、一般家庭に対して最も分かりやすい訴求力を持ちそうなのが「電力とガス」のセット割引でしょう。電力・ガス事業者の切り札といえるプランですが一体どれほどの顧客を確保するのか、一方、新規参入事業者はどんな手を打ってくるのか。電力の小売全面自由化が近づき、多くの企業の参入表明や料金プランの発表が進んでいますが、2016年に入ればこうした動きはさらに加速するでしょう。2016年も年明けからこうした話題を積極的にお伝えしていきます。

再生可能エネルギーの普及に向けて

 第3位にランクインしたのは2015年度の再生可能エネルギーの固定買取価格制度(FIT)における買取価格について報じた記事です(第3位:太陽光発電の買取価格は2015年度も下がる、非住宅用は26円が有力)。5位にも関連記事がランクインしています(第5位:太陽光発電は2〜5円の引き下げに、2015年度の買取価格が決まる)。FITは発電事業者の事業成否に大きな影響を与える制度であり、注目が集りました。

 2015年を振り返ると総務省が経済産業省に対し、本来禁止されている太陽光発電設備の分割案件の見逃しについて勧告。9月には関東を襲った豪雨で太陽光発電設備が大きく損壊し、その設置経緯の是非が話題となったことが記憶に新しいです。普及が進む再生可能エネルギーですが、このようにネガティブな側面も垣間見えた1年だったように思います(関連記事:規則違反の太陽光発電、“見逃し認定”の経産省に総務省が勧告)。

 こうした背景などもあり、FITは運用制度の見直しが議論されているところです。再生可能エネルギーの普及はまだはじまったばかり。こうした国の制度の整備や見直しに加え、約20年にわたる発電事業として捉えた際の最適な運用管理手法などについても、まだまだ議論すべき点や改善できる点が多く残っています。2016年もこうした部分についてしっかりと情報をお伝えしていきたいと思います。

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