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» 2016年01月05日 09時00分 UPDATE

エネルギー列島2015年版(37)香川:市民が広げる太陽光発電とバイオマス、産業とエネルギーを地域循環型に (1/3)

「うどん県。それだけじゃない」を合言葉に魅力づくりを進める香川県では、市民と民間企業が率先して再生可能エネルギーを拡大中だ。全国で面積が最も小さい制約の中で、工場やゴルフ場の跡地、ため池にもメガソーラーを建設する。うどんの廃棄物を利用したバイオマス発電は観光に生かす。

[石田雅也,スマートジャパン]

 香川県では地域主導で再生可能エネルギーを導入する動きが活発に進んでいる。代表的な例は地元の民間企業が中心になって設立した「うどん県電力」の取り組みだ。県内の遊休地に小規模で分散型の発電所を展開して、エネルギーの地産地消による循環型の地域社会の構築を目指している。

 発電事業の第1弾は高松市内の山林に建設した「UDONパワーマイソーラー国分寺発電所」である。山林組合が所有する6000平方メートルの用地に、630kW(キロワット)の太陽光発電所を2013年に稼働させた(図1)。年間の発電量は70万kWh(キロワット時)を見込んでいて、一般家庭の電力使用量(年間3600kWh)に換算すると200世帯分の電力になる。

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kokubunji_shinmyo2.jpg 図1 「UDONパワーマイソーラー国分寺発電所」の全景(上)、工芸高校の生徒が装飾した架台(下)。出典:うどん県電力、高松信用金庫

 この発電所は事業資金を地元の高松信用金庫が融資して、工事も地元の業者が請け負った。売電による収益を修繕費として積み立てながら、蓄電池を導入して地域の防災拠点としても生かす計画だ。太陽光パネルを設置した架台の一部には、地元の工芸高校の生徒が環境をテーマにした装飾を施した。引き続き県内の遊休地に1MW(メガワット)程度の発電所を展開してエネルギーの地産地消モデルを拡大していく。

 うどん県電力のプロジェクトは市民参加型の発電事業にもつながった。同じ高松市内にある大きなため池のほとりには、2015年2月に運転を開始した「うさんこやま未来発電所」がある(図2)。「うさんこやま」は発電所の近くにある山の名前だ。うどん県電力の発電事業にもかかわった市民が農家と兼業で発電所の運営にあたっている。

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usankoyama1.jpg 図2 「うさんこやま未来発電所」の全景(上)、市民ファンドを活用した事業スキーム(下)。出典:農林水産省、うさんこやま電力

 発電能力は273kWで、年間の発電量は32万kWhを想定している。約9000万円の建設費のうち3100万円を市民ファンドで調達した。ファンドの出資者は配当を現金ではなくて地元の無農薬野菜や農産加工品で受け取ることもできる。再生可能エネルギーによる発電事業を地域の農産物の生産拡大につなげる試みだ。

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