鉄道グループが家庭に供給する電力、月間300kWh超で5%引き:電気料金の新プラン検証シリーズ(4)(2/2 ページ)
東急でんきのメリットを享受できる家庭は、東京電力のサービスエリア内で毎月の使用量がかなり多いか、東急電鉄の沿線でケーブルテレビを契約している場合である。東京23区の西部から神奈川県の川崎市と横浜市にまたがる地域で東急グループのケーブルテレビ「イッツコム」に加入していると、電力とセットで月額350円の割引を受けることができる(図3)。さらに東急グループのカードで支払うと126円相当のポイントが付く。
図3 東急グループのサービスを組み合わせた割引イメージ。出典:東急パワーサプライ
現在の電気料金が月額1万3000円のモデルケースにあてはめると、ケーブルテレビのセット割引とポイントを加えて1カ月に783円、年間で約9400円の節約になる。さらに東急電鉄の定期券とセットで割り引くプランも計画中で、沿線の住民にはメリットの多いサービスになりそうだ。
商店や事務所を対象にした「従量電灯C」に相当する料金プランでも、使用量が多い場合に割引額が大きくなる。家庭向けと同様に月間の使用量が300kWhを超えると、電力量料金の単価が東京電力よりも5%安くなる(図4)。基本料金も10%安い設定で、東京電力や他の事業者と比較しやすい。
図4 商店・事務所・工場向けの料金プラン(2016年1月)。上段が東京電力の「従量電灯C」と比較、下段が「低圧電力」と比較。出典:東急パワーサプライ
大型の業務用エアコンなどを使っている商店や工場には「低圧電力」に相当する料金プランを用意した。基本料金と電力量料金の両方とも東京電力と比べて1%安い。低圧電力を利用する商店や工場は毎月の使用量が多いため、1%の割引でも電気料金の削減額は小さくない。検討する価値はあるだろう。
- 電力・ガス・電話のメガ競争が始まり、電気料金は確実に安くなる
いよいよ電力の小売事業が4月1日から全面的に自由になる。全国で7.5兆円にのぼる家庭の電力市場に向けて、ガス会社を筆頭に有力企業が続々と乗り出してくる。携帯電話やインターネットサービスと組み合わせたセット割引も始まり、電力会社と新規参入事業者の競争が各地域へ広がっていく。
- 電力の購入先変更を検討する人が8割に、電気の質に不安も
電力の小売自由化が一般にどのくらい認知されているのか。資源エネルギー庁が全国1000人を対象に調査した結果、9割以上が自由化を認識していて、購入先の変更を検討する人も8割に達した。電気料金の低下に期待する一方で、電気の質など供給面の情報は浸透していない。
- 東京ガスの「ずっとも電気」、3種類のプランで東京電力に挑む
電力の小売全面自由化に向けて最も意欲的な会社の1つが東京ガスだ。小売電気事業者の先頭を切って料金プランを公表した。毎月の電力使用量が多い家庭や商店を対象に、東京電力よりも安い単価を設定した点が特徴だ。都市ガスのほかにインターネットサービスを加えた「トリプル割」も実施する。
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