“セット割”に勝負を託す、東京電力の新料金プラン電気料金の新プラン検証シリーズ(5)(2/4 ページ)

» 2016年01月08日 07時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

“お得”になるのはポイント+セット割

 東京電力は今回の新プランからポイント制度を導入する。ポイントの付与率は1000円ごとに5ポイントだ。「Tポイント」もしくは「Ponta」のどちらかとしてもためることもできる。2017年春をめどにこうしたポイントを電気料金に充てられるサービスも開始する計画だ。ポイントは1ポイント1円相当として換算できるという。

 ではこのポイントでどの程度料金がお得になるのか。東京電力は40A契約の3LDKマンションに住む4人家族で、月の平均使用量が400kWhの家庭がプランSに切り替えた場合で試算をしている。この時に従来電灯Bで契約しているとすると、電気料金は月額約1万1000円だ。これをプランSに切り替えた場合、1年間でたまるポイントは540ほど。そしてWebから新プランに申し込んだ場合500ポイントが加算される。実際の料金そのものはあまり差がつかないが、ポイントによって年間約1000円相当分がお得になる計算だとしている(図3)。

図3 ポイント割引のモデル(クリックで拡大)出典:東京電力

 そしてさらにユーザーにお得感を訴求するのが、東京電力のパートナー企業が提供するサービスと組み合わせたセット割引だ。例えば先述した40A契約、月平均使用電力が400kWhの家庭がニチガスとのセット割引プランに申し込んだ場合、従来電灯Bと比較して1年間で6500円の割引になるという

 このように新料金プランでは、セットプランによる割引率が大きい。東京電力はニチガスの他、ソフトバンク、So-net、USEN、ビックカメラなど、現在21社と小売電力の販売について提携しており、今後もパートナーを拡大していく予定だ(図4)。こうした提携プランの割引率やサービス内容が顧客の動きに大きく影響しそうだ。なお、ソフトバンクとのセット割引プランについては2016年1月中旬にかけて発表する予定だという。

図4 現時点で東京電力が提携している企業の一覧(クリックで拡大)出典:東京電力

定額制を採用したプレミアムプランも用意

 ここまではスタンダードプランについて説明したが、東京電力では電気使用量が多いユーザー向けのプレミアムプランも用意した。月の電気料金が1万7000円以上になるユーザーに推奨しているプランだ。400kWhまでの電力量料金を定額9700円とし、これを超えた分については1kWh当たり29.04円とスタンダードプランより割安な従量制となる(図5)。

 特徴的なのが基本料金で、東京電力が提案する「スマート契約」という手法で算出する。これはスマートメーターを利用して30分ごとの使用電力量から契約電力量を決めるというもの。30分ごとの使用電力量のうち、月間で最も大きい値を2倍した値は最大電力需要とよばれる。過去11カ月の中で、最も値の大きい最大電力需要が契約電力量となる仕組みだ。1kW当たり468円で計算した額が基本料金となる。

図5 プレミアムプランの概要(クリックで拡大)出典:東京電力

 東京電力はこのプレミアムプランについて、2016年3月31日までに2年契約で加入すると大きな割引が受けられるキャンペーンを開始する。契約電力が50A、月平均使用電力量が700kWhの一戸建てに住む家庭を想定した場合、ポイントやキャンペーン特典などを合わせると年間約2万9300円相当の割引になるという。加えて先ほどの例にならって、ニチガスとのセットプランに加入した場合は2年間で約4万800円相当の割引になるとしている。さらにこのプレミアムプランには、故障などのトラブルが起きた際にサポートを受けられる「電気の駆けつけサービス」が無料でついてくる。

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