“分かりやすさ”を全国展開、みんな安くなるKDDIの「au でんき」電気料金の新プラン検証シリーズ(11)(3/4 ページ)

» 2016年01月20日 07時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

分かりやすさで勝負、auユーザーなら誰でもお得に

 シンプルな料金プランを設定した理由について、KDDI 代表取締役 執行役員 専務の石川雄三氏は「市場調査の結果を見ると6割以上のユーザーが、電力自由化で電気の購入先を変えてみたいと答えている。そして切り替え先を選ぶ際のポイントとして、電気料金の安さの次に、料金メニューや契約手続きが分かりやすいという点を重要視していることが分かる。そのためau でんきセット割の料金プランはどこよりも分かりやすく設定した」と述べる(図5)。なおau でんきへの契約変更手続きは、Webからの申し込みに加え、検針表を「auショップ」に持っていくだけで行えるという。

図5 ユーザーが重要視するのは「安さ」と「分かりやすさ」。これにフォーカスした料金プランを設定した(クリックで拡大)

 au でんきセット割の“分かりやすさ”を支える1つの要因が、誰でも使用電気料金の総額から一定比率で割引を行うというサービス体系だ。他社の料金プランの場合「毎月300kWh(キロワット時)以上使う家庭はお得」「夜間の電力が安い」といったような、従量制や時間帯によるメリットをアピールしている場合が多い。そして各社の特徴として、「多くの電気を使う家庭であるほどお得になる」という料金プランを設定する傾向にある。KDDIの競合となるソフトバンクも同様だ。

 こうした中で発表したau でんきの料金プランの狙いについて石川氏は「他社の料金戦略を見ると300kWh以上を目安に“いっぱい使えばお得になる”というプランを設定していることが多い。しかし毎月の使用電力量が300kWh以下の家庭は全体の約5割を占めており、このうちの60%が1〜2人の世帯。“いっぱい使えば安くなる”というプランは、こうした世帯に対してメリットがほぼない。さらにサービス供給エリアの制限もある。一方、au でんきセット割はほぼ全ての地域を対象にしており、どんな人数構成の世帯でも電気料金が安くなる」と語る。

 さらに同氏は「電気料金は世帯構成に加え、季節による変動も大きい。ユーザーの声を聞くと『電気って安くなったり高くなったりするのでは?』といった不安も多い。こうした不安に対してau でんきでは、ベースとなる電気料金は従来のまま、世帯の人数構成、地域、そしてどの季節であっても、電気料金の総額に対して常に一定比率で割引を行うという分かりやすさで応えていく」と述べた(図6)。

 

図6 電力料金が8000を超えた月は5%、それ以下だった場合は3%というように使用電力量に応じて割引率は変動する(クリックで拡大)

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