電力自由化のカギを握る卸売市場、ポイントは「既存電力会社の取引量」電力供給サービス(2/3 ページ)

» 2016年01月28日 15時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]

JEPXの取引の概要

 まずは簡単にJEPXの取引の概要を紹介する。取引の準備として、JEPXへの会員登録が必要となる。会員登録には、エリアごとの「発電量調整供給契約」か「接続供給契約」への届け出と、純資産額が1000万円以上あることが必要だ。取引の方法としては、翌日受渡しの電力を売買する「スポット市場(1日前市場)」と一定期間後に受け渡しを行う「先渡市場」、当日の当該時間の1時間前まで取引が可能な「当日市場(1時間前市場)」がある。

 中心となる「スポット市場」では、取引日の10日前から受け渡しを開始し、前日の午前10時が締め切りとなる。取引の単位は1日を30分刻みで48分割して商品設定し、電力の取引は1MW(メガワット)が最小単位となる。約定方式はブラインド・シングルプライスオークション方式で、入札価格によらず約定価格によって取引される(図3)。スポット市場では従量0.03円/kWhか月額100万円の取引手数料が必要だ。また、電力小売全面自由化に向け、従来は土日は休みだったが、365日取引を実現した。

photo 図3:スポット市場における約定価格の算定方法の概要 出典:JEPX

 一方、「当日市場」については、従来のシングルプライスオークション方式ではなくザラバ仕法の1時間前市場を用意した。ザラバ仕法とは、取引所において値段を決定する方法の1つで、多数の売り方と買い方の中で、値段と数量が一致したものから個別で取引を成立させていく方法である。当日市場では、前日の17時から受け渡し1時間前までの取引が可能で、取引単位は30分、100kWが最小単位となっている。主に需給調整での用途で使われると見られており、手数料は従量0.1円/kWhである。

 「先渡市場」は、翌月から1カ月の電気を受け渡す取引で、期間と時間帯により「年間/月間/週間 24時間型」と「月間/週間 昼間型」の5種類の製品を扱っている。約定処理については当日市場と同じくザラバ仕法を採用しているという。

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