具体的な削減策については、産業部門では製造ラインの見える化を通じたエネルギー効率の改善などエネルギーマネジメントの徹底。業務部門ではBEMSによる見える化・エネルギーマネジメント(約半数の建築物に導入)。運輸部門は交通流対策・自動運転の実現。家庭部門にはHEMSによる見える化・エネルギーマネジメント(全世帯に導入)が対策として挙がっており、「今まではハードの省エネ性能がどれだけ上がるかというものをポイントに置いていた。今回あらためて積み上げた政策はIoTやビッグデータを利用した手法を取り入れている」(辻本氏)とする。
これらの施策は、「規制」と「支援」の両輪に、「省エネビジネス」を加えて推進していく方針だという。「規制」としては、基本的なものとして省エネ法がある。このうち住宅に関しては2018年から新法に移行することになる。支援措置としては各種省エネを実現する製品の導入支援や税制支援(減税)などがある(図2)。
エネルギーマネジメントの実現については「我慢の省エネ」からIT活用の「スマートな省エネ」への移行が大きなテーマとなる。データをベースにして工場ではIoTを活用した製造ラインのデジタル化の推進などで競争力のある工場を実現する。ビル・家庭では電力システム改革をきっかけとして、新たなサービス提供ビジネスの活性化を図る(図3)。
このエネルギーマネジメントによる新ビジネスには、工場向けでは「製造プロセス間最適化システム導入ビジネス」(プロセス間のエネルギー使用状況をこれまでにないレベルで収集。ビッグデータ解析によるプロセス最適化を実現)、業務向けは「ライフサイクル管理省エネ設備導入ビジネス」(ライフサイクルであらゆる情報を管理、リース活用。初期コスト低減、メンテナンス、エネルギーコストを同時管理していく)、家庭用向けでは「エネ消費情報提供/管理サービスビジネス」(家庭におけるエネルギー消費の見える化を超えたサービス提供。将来的には、家庭エネ消費の群管理まで到達する)、運輸向けは「高度運行管理システム導入ビジネス」(移動体情報を直接収集し、ビッグデータ解析による運行管理最適化を実現する。エコドライブ、事故未然防止、保険適用)などが出現している(図4)。
「単なる我慢の省エネだけでは続かない。省エネがビジネスにつながることで持続することになる」(辻内氏)として、“攻めの省エネ”に注力していく方針だ。
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