委員会はシステム費用以外の4つの指標についても最新の実績データを公表している。土地の造成費は全体の平均値が0.47万円/kWで想定値(0.4万円/kW)とさほど変わらなかった。これに対して送配電ネットワークまでの接続費は全体の平均値が0.77万円/kWで、想定値(1.35万円/kW)の6割弱にとどまっている(図5)。
ただし今後は地域によって発電設備に出力制御対応機器を設置する必要が生じるほか、送配電ネットワークの増強にかかる工事費の負担金が増える。こうした追加のコストを見込んで接続費の想定値も据え置いた。もう1つの指標である稼働後の運転維持費は想定値どおりの水準(年0.6万円/kW)を維持している(図6)。
発電事業の収益性を左右する指標に設備利用率がある。発電設備の稼働率(出力に対する実際の発電量)の年間平均を示すものだ。太陽光発電の場合には太陽光パネルやパワーコンディショナーの性能が向上して、設備利用率は年々上昇している。
直近のデータでは出力10kW以上の発電設備全体では13.8%に、1000kW以上のメガソーラーでは14.6%まで高まった(図7)。それぞれ1年間で0.4〜0.5ポイント上昇している。このペースが続くと2016年にメガソーラーの設備利用率は15%に到達する。買取価格の想定値(14%)よりも高くなり、発電事業者には有利に働く。買取価格が24円に下がっても、収益に対する影響は小さくなる。
同様に住宅用の太陽光発電の設備利用率についても、前年度の12%から13.7%へ想定値を引き上げた。これは年間の発電量が想定よりも14%増えることを意味する。加えてシステム費用が1kWあたり1.1万円下がっている。この2つの算定指標の変動分を考慮すると、住宅用の太陽光発電の買取価格は4〜5円程度の引き下げも想定された。しかし実際には2円の低下にとどめた(図8)
住宅用の買取価格の引き下げ幅を小さく抑えた理由は2つ考えられる。1つは国を挙げて再生可能エネルギーの拡大に取り組んでいくうえで、家庭で導入できる太陽光発電を今後も促進する必要があることだ。
もう1つの理由として、2017年度から住宅用の太陽光発電の買取価格を数年先まで低減する方式に変更する。あらかじめ将来の買取価格を提示して、太陽光発電のコストダウンを図る狙いだ。2016年度の買取価格を低めに設定してしまうと、2017年度以降の買取価格を長期にわたって引き下げた場合に、家庭の導入意欲を損ねる懸念がある。
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