発電効率が50%を超えた燃料電池、余剰電力の買取も4月に開始:蓄電・発電機器(3/3 ページ)
新機種の第3の特徴はインターネットやスマートフォンを利用した管理サービスである。「エネファームtype S」には無線LAN機能を内蔵したリモコンが標準で付いている(図8)。このリモコンを無線LANでインターネットに接続すると、大阪ガスから遠隔監視やエネルギー管理のサービスを受けることができる。
図8 無線LAN機能を備えたリモコン(インターホン機能付きの浴室用)。出典:大阪ガス
「発電見守りサービス」はリモコンを通じてエネファームの運転状況を監視する。故障や操作ミスで発電が停止した場合には、大阪ガスから家庭に電話で連絡が入り、状況に応じて修理担当者が駆けつけて対応する体制だ(図9)。家庭内に電力と温水の両方を供給する重要な役割を果たすためには、問題が発生した時に迅速な対応が欠かせない。
図9 リモコンと連動した「発電見守りサービス」。出典:大阪ガス
さらにスマートフォンを使うと、外出先から風呂に湯をはったり床暖房を操作したりすることができる。予約運転も可能だ。このほかに発電量や電力の使用量をスマートフォンの画面で確認できる「省エネナビゲーションサービス」がある(図10)。
図10 スマートフォンを利用した「省エネナビゲーションサービス」の画面イメージと機能。出典:大阪ガス
エネファームの発電量と家庭内の電力使用量に応じて色が変わり、エネルギーの使い過ぎをチェックすることができる。毎月の電気料金を予測する機能や、電力会社から購入した電力量を時間帯別に表示して節電をアドバイスする機能もある。
大阪ガスはエネファームの利用者向けに電力を安く提供する「家庭用ガス発電プラン」を4月に開始する。一般の家庭を対象にした料金プランと比べて、月額固定の基本料金と使用量に応じて課金する電力量料金の両方とも低い単価を設定した(図11)。エネファームの新機種を投入するのと合わせて利用者を拡大する狙いだ。
図11 家庭向けの「ベースプランA」(関西電力の従量電灯A相当)の料金体系とオプション割引(上)、「家庭用ガス発電プラン」の料金体系(下)。出典:大阪ガス
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