「自然派」で電力小売に参入するLooop、強みはずっと基本料金無料電気料金の新プラン検証シリーズ(25)(2/3 ページ)

» 2016年03月03日 07時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]

「Looopでんき」のシンプルさ

 「Looopでんき」の電力料金プランの最大の特徴が、料金プランを徹底的にシンプルにしたことである。料金プランは「おうちプラン」と「ビジネスプラン」の2つに絞り込み、おうちプランは26円/kWh(キロワット時)、ビジネスプランは27円/kWh(関西電力管内は26円)とした。また基本料金は2016年5月31日までに申し込めば、その申込者はずっと無料である。そのため、利用者は使ったら使った分だけ支払うだけでよく、料金計算なども非常に分かりやすい(図2)。

 小嶋氏は「電力料金における基本料金の位置付けは、原則的には発電を行う設備の保持にかかる費用として引き当てられているのが本来の意味。そのため電力小売自由化によって生まれた電力小売専門の企業が基本料金を徴収するのはおかしなことだと考えている。基本料金をゼロ円としたことで、一般消費者にも電気料金の意味などを考えてもらいたいという意図も込めている」と狙いについて語っている。

photo 図2 「Looopでんき」の電力メニュー 出典:Looop

 おうちプランについては、現状の電力会社の料金プランの「従量電灯B」に相当し、ビジネスプランについては「従量電灯C」に相当する。40A(アンペア)の戸建て住宅で、400kWhを使用したという場合、電力会社の現状の料金と比較して、4.7〜11.9%の電気代削減につながるという。またビジネスプランの場合も、10kVA(キロボルトアンペア)で2000kWh使用時では、5.8〜11.8%の電気代削減につながるという(図3)。

 「電力をよく使う世帯にも、あまり使わない世帯にもお得なプランを用意できた。両方を狙いにいけると感じている」と小嶋氏は述べている。

photo 図3 電力会社と比較した場合の目安 出典:Looop

基本料金無料のビジネスリスク

 基本料金をずっと無料にするという今回のプランでは、同年5月末までの申し込み期間に仮に電力をあまり使わない世帯の申し込みばかりが殺到した場合には、それぞれの契約が赤字となる経営的なリスクを負うことになる。

 中村氏は「そこは難しい問題だと認識している。本来は期限を区切らずに基本料金無料を続けたいという思いがあった。しかし、経営面でのリスクを考えて、期限付きということにした。この期間で計画通りの申し込みの動きであれば、基本料金無料での申し込み受け付け期間を延ばすことも考えている」と述べている。

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