マグネシウム空気電池が家庭でも買える、水で発電し劣化も少ないスマートエネルギーWeek 2016

古河電池は「第7回 国際二次電池展」で2016年2月29日に発売したばかりの家庭向け非常用マグネシウム空気電池を出展。非常用電源として家庭への常備を訴えた。

» 2016年03月07日 09時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]

 大型地震や台風など災害による非常時に困るのは電源である。非常時に活躍する電源としては乾電池があるが、実は乾電池は自然放電があるため、いざ使いたい時に使えないという状況が発生する。こうした課題の解決を狙ったのが、古河電池と凸版印刷が開発した「MgBOX(マグボックス)」シリーズである。

 マグボックスシリーズは金属マグネシウムに水を加えることで発電する1次電池である。従来モデルの「マグボックス」は4つの電池セルに、それぞれ500ml(ミリリットル)の水を注入するだけで300Wh(ワット時)の電力を発電する。マグボックスの電力は、専用のUSBボックスを介して、電圧5V(ボルト)/電流1.2A(アンペア)の電力が2個のUSBインタフェースから出力される。これはスマートフォンを最大で30台充電できる台数だという。重量約1.6キログラム(kg)で、寸法は幅233ミリメートル(mm)、高さ226mm、奥行き226mmである。同社ではこの「マグボックス」を2014年12月に発売し、主に自治体や企業の非常用備品として好評を得てきたという(関連記事)。

 これらの動きをさらに広げるために、新たに2016年2月29日に発売したのが家庭用の「MgBOX slim(マグボックススリム)」である(図1)。

photo 図1 マグボックススリムを展示した古河電池ブースの様子

 従来のマグボックスは、B2Bでの販売に特化しており、自治体や企業のみへの販売としていた。ただ「家庭向けで出してほしいという引き合いはずっとあった」(ブース担当者)という。マグボックススリムはそのニーズに応え、家庭向けなどでも保存しやすいように容量や重さを低減することを目指した(関連記事)。

 マグボックススリムは、幅210mm、高さ220mm、奥行き110mm、質量は約1.0kgとなっており、体積を約半減している。一方で電池容量は200Whとなっており、能力は3分の2となっている(図2)。

photo 図2 マグボックスとマグボックススリムの比較 出典:古河電池

 価格については約1万5000円前後としており、今回から大手通販サイトや一般の流通ルートでも販売を開始するとしている。既に商談なども進んでいるとし「多くの店舗などで目にすることも増えるだろう」(ブース担当者)としている。

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