日本ブランドが重要な太陽光、トップ企業が狙うスマートエネルギーWeek 2016(3/3 ページ)

» 2016年03月17日 13時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]
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生産規模と技術開発で際立つ

 中国Trina solarは、太陽電池の生産規模と最先端技術の開発という両面で際立った企業だといえるだろう。1997年に太陽光システムインテグレーターとして創立、その後、シリコンインゴットの製造から大規模太陽光発電所の管理運営サービスまで事業の垂直統合を進めていった。2015年には太陽電池モジュールの年間出荷数量(GW換算ベース)が5.74GWに達した*2)。2015年末までの累計出荷量は17GWを超えた。

 「世界最大の太陽電池モジュールメーカーであり、業界トップの太陽光発電プロジェクト開発・運営会社である」と主張する。他社の数値が出そろっていないため、2015年のシェアや順位を検証することはできないものの、トップグループに位置することは確実だ。

 変換効率も高い。多結晶シリコン太陽電池セルでは、開口部面積239.7平方センチメートル(cm2)の研究開発品で21.25%*3)を達成。多結晶シリコン太陽電池モジュール(開口部面積1万5126.5cm2)でも19.2%という数値を発表している。Progress in Photovoltaics誌(米John Wiley&Sons)によれば、2015年11月時点でいずれも世界一の数値だ。

メイド・イン・ジャパンをうたう

 これほどの強みがあるにもかかわらず、同社は「メイド・イン・ジャパン」ブランドの太陽電池モジュールを日本の住宅市場に投入することが必要だと考えている。2016年3月2日には、太陽電池モジュールに関するOEM生産を国内企業に委託することを発表した。2016年4月から2018年12月までの長期契約であり、年間約130MW相当という規模である。

 OEM生産の委託を受けたのは、エヌ・ピー・シー。同社は太陽電池製造装置メーカーだ。トリナ・ソーラー・ジャパンによれば、太陽電池の受託加工事業の実績があるため、生産委託契約を結ぶことになったという。エヌ・ピー・シーの松山工場(愛媛県松山市)で加工後、国内に出荷する。

 トリナ・ソーラー・ジャパンは、2016年5月の本生産開始に向けて、製造ラインの最適化や仕様変更、テスト生産など生産準備を開始する。

*2) 2016年3月3日に同社が発表した数値。なお、2015年12月31日時点で、シリコンインゴットの社内製造能力は年間約2.3GW、ウエハは約1.8GW、太陽電池セルは約3.5GW、太陽電池モジュールは約5.0GWだとした。2016年末には上流工程の数量は変わらず、太陽電池セルの製造能力が約5.0GW、太陽電池モジュールが約6.0GWまで伸びると予想している。太陽電池モジュールの数値がセルなどの数値よりも高いのは、外部調達品を活用しているため。
*3) 米国立再生可能エネルギー研究所(NREL)によれば、2016年3月9日時点でも多結晶シリコン太陽電池セルとしては変換効率が最も高い。NRELは数値を21.3%としている。

【訂正】 記事の掲載当初、3ページ目第1段落で「シリコン原料の製造から」としておりましたが、これは「シリコンインゴットの製造から」の誤りでした。同段落で「累計出荷量は20GWを超えた」としておりましたが、これは「累計出荷量は17GWを超えた」の誤りでした。お詫びして訂正いたします。上記記事はすでに訂正済みです(2016年3月29日)。

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