洋上風力の発電効率30%を実証、日本初の着床式2カ所で自然エネルギー(1/3 ページ)

2013年に日本で初めて運転を開始した2カ所の洋上風力発電設備の実証データが明らかになった。発電能力が2MW級の大型風車を洋上に設置した商用レベルの設備で、年間の発電効率が30%前後に達することを実証した。平均風速は毎秒7メートルを超えたが、風向は2カ所で大きな差が出た。

» 2016年03月25日 07時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は千葉県の銚子沖と福岡県の北九州市沖で2013年に開始した洋上風力発電の実証研究の観測データを初めて公開した。2カ所とも海底に設備を固定する着床式を採用して、大型風車1基と観測タワー1基で構成している(図1)。

図1 着床式による洋上風力発電の実証研究設備。千葉県の銚子沖(左)、福岡県の北九州市沖(右)。出典:NEDO

 銚子沖の発電設備は沖合3.1キロメートル、水深11.9メートルの場所で2013年3月に運転を開始した。商用レベルの洋上風力発電では日本で初めての試みだ。風車の直径は92メートルあって、発電能力は2.4MW(メガワット)である。一方の北九州市沖の発電設備は沖合1.4キロメートル、水深14メートルの場所で2013年6月に運転を開始している(図2)。風車の直径は83メートルで、発電能力は2MWある。

図2 実証研究設備の設置場所。出典:NEDO

 発電設備の近くに設置した洋上観測タワーには、10メートルおきに風速計と風向計を設置した。そのほかに温度・湿度・雨量・気圧などの気象観測、さらに波高・流向・水温といった海象データを測定する機器を備えている(図3)。NEDOが公開した観測データは発電設備の運転を開始する前後の期間を含む2013年1〜12月分である。

図3 洋上観測タワーの設備(北九州市沖)。出典:NEDO
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