風力発電に3年ごとの検査を義務化、500kW以上を対象に2017年4月施行へ自然エネルギー(1/2 ページ)

経済産業省は風力発電設備の新たな定期点検制度の内容案を発表した。単機500kW以上の設備を対象に、3年ごとの定期検査を義務付ける方針だ。2017年4月からの施行を予定している。

» 2016年03月28日 11時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 経済産業省が2016年3月22日に開催した電力安全少委員会で、風力発電設備や太陽光発電設備の安全対策強化に向けた新規制の制度案が示された。風力発電設備については、単機500kW(キロワット)以上の設備を対象に3年ごとの定期検査を義務化する方針だ。2016年度中に新制度の詳細設計などを進め、2017年4月から施行する計画である。

 日本国内に設置されている風力発電設備は、単機出力が500kW以上のものが9割以上を占めている(図1)。今回議論された定期検査を義務付ける新制度が施行されれば、国内のほとんどの風力発電設備がその対象になる。なお、現在の制度では500kW以上の設備を対象に事故が発生した場合には国への報告を求めている。

図1 日本に設置されている風力発電設備を出力規模で分類した割合 出典:経済産業省

 新制度では法定定期検査や定期安全管理審査を「3年ごとの実施」として義務付ける方針だが、これは日本風力発電協会が策定している「風力発電設備の定期点検指針(試行版)」などを踏まえて算出した。施行されれば3年に1度、指定項目全ての検査を行う必要がある。現時点で検討されている検査項目案は図2の通り。検査項目とその頻度は検査技術の精度や事故原因の分析結果などを踏まえながら見直しを行っていく方針だ。

 制御装置など、本来は半年〜1年ごとに検査を行うことが推奨されている部位も存在する。しかし、こうした短周期の点検の実施までを義務化してしまうと、発電事業者側の柔軟な設備運用が困難になるという判断だ。

図2 検討されている検査項目(クリックで拡大)出典:経済産業省
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