風力発電に3年ごとの検査を義務化、500kW以上を対象に2017年4月施行へ : 自然エネルギー (2/2 ページ)
新制度の内容とともに、事業者側の負担を軽減するインセンティブ措置の実施も検討されている。現行の定期安全管理審査は、法定定期検査の適切な実施を担保する仕組みとして機能しているものの、事業者が主体的に自主保安水準を高めるための仕組みになっていないという課題を受けてのものだ。
現時点で検討されているインセンティブ措置の内容案は以下の通り。まず日常的な保守・点検の実施、IoT(Internet of Things)の活用による設備の常時監視や予防保全システムの導入といった設備安全性など、事業者側の保安力を評価する。この保安力に応じて、法定定期検査時期を延伸または短縮するというものだ(図3)。
図3 インセンティブ措置案の内容 出典:経済産業省
安全管理審査については、民間期間による審査を基本とする方針だ。風力発電設備は定型的な風車を複数設置することが多く、単機出力は最大でも5000kW程度であること。さらに国際的な民間製品認証機関やメンテナンス事業者が存在し、民間の知見を活用できる状態にあるといった点を考慮している。
急がれる太陽光発電と風力発電の安全対策、定期検査制度の導入も
2013年から2015年にかけて、全国各地で太陽光発電と風力発電の事故が相次いだ。政府は安全対策を徹底するため、発電設備に対する定期検査制度の導入や保安規制の強化に乗り出す。特に事故が頻発している風力発電に対しては2017年度から定期検査制度を適用する方針だ。
洋上風力の発電効率30%を実証、日本初の着床式2カ所で
2013年に日本で初めて運転を開始した2カ所の洋上風力発電設備の実証データが明らかになった。発電能力が2MW級の大型風車を洋上に設置した商用レベルの設備で、年間の発電効率が30%前後に達することを実証した。平均風速は毎秒7メートルを超えたが、風向は2カ所で大きな差が出た。
洋上風力発電が近海に広がる、着床式で全国15カ所へ
風況に恵まれた北海道と東北の近海を中心に、大規模な洋上風力発電所の建設プロジェクトが続々と始まった。陸上よりも風が強く、風車の設置面積を広くとれるため、規模の大きい風力発電所を展開しやすい。水深の浅い場所に建設できる着床式の発電設備が全国各地の沖合に広がっていく。
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