2017年4月から変わる固定価格買取制度、知っておくべき改正ポイント自然エネルギー(2/4 ページ)

» 2016年04月04日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

住宅用の太陽光は25円前後まで低減

 加えて事業用の太陽光では入札制度を実施することも改正案に盛り込まれた。政府が太陽光発電の買取量や上限価格などの条件を決めて、事業者は希望する買取価格と発電設備の出力を入札する仕組みだ(図4)。安い買取価格を提示した事業者から落札して、買取制度の認定を受けることができる。

図4 入札制度の実施方法(画像をクリックすると拡大)。FIT:Feed-In-Tariff(固定価格買取制度)。出典:資源エネルギー庁

 当初は発電能力の大きい設備だけを対象に入札制度を導入する予定だ。対象になる発電設備の規模も入札ごとに決める。当面のあいだはメガソーラーに相当する1MW(メガワット)か2MW以上を対象に入札を実施する可能性が大きい。入札は地域別ではなく全国一律で、年に1〜3回程度を想定している。

 一方で住宅用の太陽光(出力10kW未満)に対しては、買取価格の低減スケジュールをあらかじめ提示する。目標に設定する価格の基準は家庭用の電気料金で、現在の単価は25円前後である。政府の方針は改正から3年目の2019年度をめどに目標の価格まで引き下げていく。電力の利用者が負担する賦課金を抑制しながら、発電した電力の自家消費を促進する狙いだ。

 このほかの風力・地熱・中小水力・バイオマスの買取価格は数年先まで決定する方式に変わる。発電事業の検討開始から運転開始までのリードタイムが太陽光よりも長くかかるため、2〜5年先までの買取価格を決定して事業化を判断しやすくする。

 たとえば3年先までの買取価格を決定する場合には、2017〜2019年度分を2016年度内に決定する(図5)。その後は1年ずつ更新していく。年度ごとの買取価格が高くなることもあれば安くなることもある。

図5 数年先の買取価格を決定する方法(3年先まで決定する場合)。出典:資源エネルギー庁

 ただし風力だけは住宅用の太陽光と同様に買取価格を低減する方針だ。風力の設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)が従来の買取価格で想定している20%から25%に改善することを前提に、それに見合った価格目標を設定して低減スケジュールを示す。現在の買取価格から8割程度の水準まで引き下げていく。

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