「エコめがね」を採用している太陽光発電設備は北海道から九州まで全国各地に広がっている(図5)。このうちの2割の発電設備がエネットに電力を供給する。発電設備が全国に分散しているため、天候による発電量の変動を抑制できる利点がある。
太陽光発電設備が1基の場合には、時間帯ごとの発電量が日によって大きくバラついてしまう(図6)。これに対して複数の発電設備の電力をまとめると、天候によって発電量が多い日と少ない日はあるものの、正午あたりをピークに放物線状になだらかに変化する。ちょうど昼間の電力需要に合った供給パターンになる。発電設備の数が増えて地域が広がるほど電力が安定する構造だ。
NTTスマイルエナジーの谷口裕昭社長によると、「現時点で買取の対象になっている27万kWの太陽光発電設備の電力を使って、少なくとも3万件の家庭に電力を安定して供給できる」。この電力で初年度に1万件の家庭に「太陽のでんき」を販売することが当面の目標だ。
実際の営業活動は全国に2100社ある「エコめがね」の販売パートナーの中から希望を募って委託する。エネットが小売電気事業者として電力を供給する一方、NTTスマイルエナジーは取次事業者として電気料金の請求などを担当する体制になる(図7)。
NTTスマイルエナジーはNTT西日本とオムロンが2011年に設立して、「エコめがね」を中心にエネルギー分野の事業に取り組んでいる。一方のエネットはNTTファシリティーズと東京ガス・大阪ガスの3社による合弁会社で、企業向けの販売量では新電力の約50%を占める最大手だ。同じNTTグループの2社が組んで、太陽光を生かした新しいスタイルの電力小売サービスに乗り出した。
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