一方で原子力発電所には18日朝の時点で異常は発生していない。鹿児島県の「川内原子力発電所」と佐賀県の「玄海原子力発電所」では16日の未明に発生した地震で震度3強の揺れを観測した。揺れの強さを表す表面加速度は最大で30ガルだった(図4)。一般に8〜25ガルで震度3、25〜80ガルで震度4とみなす。九州電力は引き続きプラントの状態監視や現場パトロールを実施中だ。
熊本県の震源から東へ150キロメートルほど離れた場所にある四国電力の「伊方発電所」でも、16日の未明に震度3相当の表面加速度10ガルを感知したが、3基の原子力発電設備に異常は発生していない(図5)。
いずれにしても震度3程度の地震で原子力発電所に異常が発生するようでは、国の新規制基準による適合性審査が意味をもたなくなる。審査を実施する原子力規制庁は中国電力の「島根原子力発電所」を含む4カ所の状況を18日の朝に発表した(図6)。さらに同日10時30分から臨時会議を開催して最新の状況を確認している。
国内の原子力発電所では川内原子力発電所の1・2号機だけが運転中で、地震による異常が発生していないことをテレビ局がテロップで繰り返し報じている。それだけ国民のあいだでは地震による原子力発電所の事故の懸念は大きい。
四国電力の伊方発電所も今夏に再稼働する可能性があるが、運転中の川内原子力発電所を含めて政府は早急に方針を見直すべきだ。原子力発電所の事故による放射能汚染の不安を国民に与え続けることは、周辺地域だけにとどまらず全国民の基本的な権利である人格権を損ねるおそれがある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.