同じ八幡平市内で安比地域から10キロメートルほどの場所にある「松尾八幡平地域」でも、地熱発電所の開発プロジェクトが進んでいる(図3)。JFEグループと三井グループを中核にした企業連合が7MW級の地熱発電所を計画中だ。
2013年に掘削調査を開始して、発電に利用可能な250度を超える地熱資源の貯留層を確認している(図4)。2015年から調査井(ちょうさせい)を使った探査調査に入り、これから蒸気の噴出量などを評価して事業化を判断する予定だ。
探査調査には3年程度かかる見込みで、その後に地熱発電所の建設に入ると3〜4年で完成する。地熱発電では7.5MW以上の場合に環境影響評価が必要になるため、松尾八幡平地域の開発計画は対象外だ。調査と工事が順調に進めば、安比地域と同様に2020〜21年には運転を開始できる。
八幡平市ではコンビニエンスストア大手のローソンが地熱の温水を利用したピーマンのハウス栽培に取り組んでいる。東北電力グループの「松川地熱発電所」から熱水の供給を受けて、冬のあいだに3棟のビニールハウスでピーマンを栽培する試みだ(図5)。
発電に利用した後の温水を使って低コストでビニールハウス内を暖房できるメリットがある。収穫したピーマンは岩手県内のローソンの店舗で2016年3月から販売を始めた。再生可能エネルギーを活用した新しい農業として周辺地域に拡大できる期待がかかる。
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