日本産の天然ガス100%の火力発電所、年間20万世帯分の電力を2018年から:電力供給サービス(2/2 ページ)
発電した電力は全量を新電力のF-Power(エフパワー)が買い取る。F-Powerは最近の2年間で販売シェアを急速に伸ばして、2015年9月の時点では新電力の中でエネットに次ぐ第2位に躍進した(図3)。自社でも発電所を所有していて、千葉県で10万kW級、新潟県でも1万1600kWのガス火力発電所を運転中だ。新設の発電所を加えて東京電力・東北電力管内の供給力を拡大する。
図3 新電力の販売シェア(画像をクリックするとグラフ全体を表示)。出典:資源エネルギー庁
長岡火力発電所は11基のガスエンジン発電機で構成する。川崎重工業が製造・販売する「カワサキグリーンガスエンジン」の高効率タイプを採用した(図4)。1基あたりの発電能力は7800kWになり、発電効率は49.5%である。
図4 「カワサキグリーンガスエンジン」の外観。出典:川崎重工業
国内で稼働している従来型のガス火力発電所の発電効率は40%前後にとどまることから、それに比べて2割以上も効率が高い。最先端のコンバインドサイクル方式による大規模なガス火力発電所の発電効率は55〜60%に達するが、それに次ぐ効率の良さで発電コストを抑えることができる。
燃料の天然ガスを供給する南長岡ガス田は帝国石油(現・国際石油開発帝石)が1984年に生産を開始した。地下4000〜5000メートルの深さに広がるグリーンタフ(緑色凝灰岩層)の中に天然ガスが大量に貯留している。2013年度の生産量は12億Nm3(ノルマルリューベ)にのぼり、国内の天然ガス生産量の約4割を占める(図5)。
図5 「南長岡ガス田」の天然ガス生産設備(画像をクリックすると所在地も表示)。出典:国際石油開発帝石
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